文学

   昨夜は首都圏でまとまった雪が降りました。
 まとまった、とはいっても積雪4~5センチ程度。

 雪国の人から見たら、何をその程度で大騒ぎしておるか、と滑稽に見えることでしょう。

 しかし、首都圏には年に1回か2回くらいしか雪が降らないうえ、積もるなんてことは数年に一度しかなく、公共交通機関も個人も雪には極端に弱いのです。

 首都圏の人がちょっとした雪ですってんすってん転ぶのは、踵から着地する歩き方をしているためだそうで、雪国の人はつま先から着地するように歩いているため、あまり転ばないそうです。
 そうはいっても、雪が降ったからといって、突然歩き方を変えるのは至難の業で、私も何度か転んだことがあります。
 幸い怪我をするほど派手にころんだことはありませんが。

 雪が降るといつも思い出す歌が二首あります。

 
わが里に 大雪ふれり大原の 古りにし里に ふらまくは後 
                                                   (天武天皇)
 わが岡の おかみに言ひて ふらしめし 雪の摧し そこにちりけむ 
                                                    
(藤原夫人)

 私の里に大雪が降ったが、古びた大原の里なんかに降るのは後のことだ、と藤原夫人をからかう天武天皇
 それに対し、私の岡の龍神に言いつけて降らせた雪のかけらがそちらに散ったのでしょう、と返す藤原夫人
 「万葉集」のなかでも、とくに素朴な味わいの歌で、ほのぼのした気持ちになります。

 しかし天武天皇が住まっていた飛鳥浄御原宮(現在の奈良県明日香村という説があるが、不明)に、そんなに大雪なんて降るはずがないのですよねぇ。
 それこそ数センチ積もった程度でしょう。
 それを自慢げに大雪ふれりなんて詠むあたり、無邪気な感じがしますねぇ。

  でも久しぶりに私が住まいする地域がうっすら雪化粧しているのを見ると、大雪が降ったよ、と自慢したくなる気持ちもわかります。
 雪が珍しい地域では、雪景色の幻想美は、よりいっそう、印象深いからです。

 今日は電車の遅れや道路の渋滞で遅刻者続出。
 私は30分早く出て、いつもの時間に到着しました。
 スリップ事故は起きませんでしたが、何度かハンドルが取られそうになりました。
 でも今日は晴れ。
 夕方には熔けて茶色い汚らしい雪に変わっているんでしょうね。

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