東京都が青少年健全育成条例を改正しようとしているそうです。
なんでも漫画やゲームなどの性描写を規制すべく、それらの登場人物を指す非実在青少年なる造語まで作って、これを取り締まるとか。
ちばてつやや永井豪ら大物漫画家がこぞって反対しているそうです。
珍妙ですねぇ。
石原慎太郎先生はその昔「太陽の季節」をひっさげて既成の価値観を破壊すべく華々しく文壇にデビューしたのに。
国会議員をやって、大臣をやって、都知事にまで上り詰めたら、今度は検閲をやろうというのでしょうか。
昔からお上は検閲や焚書が大好き。
小説家でも権力を握れば表現の自由を弾圧するのですね。
憲法21条は検閲を禁止し、表現の自由を保障しています。
一方、刑法175条はわいせつ図画等の頒布を禁じています。
両者は矛盾します。
その場合、上位の法律である憲法の規定が優先されなければならず、刑法175条は廃止すべきでしょう。
私は、わいせつだろうが芸術だろうが、暴力的だろうがテロリズムを奨励していようが、表現の自由は無制限であるべきだと考えています。
下品なポルノもまた、人間精神の運動の現れです。
その自由な精神活動を封殺してはいけません。
もちろん、幼児を誘拐して児童ポルノを作るとか、実際に強姦してその場面を撮影するとか、そういうのはそれぞれ誘拐・強姦という罪で罰せられるわけですから、表現の自由とは別次元の犯罪です。
まして漫画家が青少年の性交渉を描いたからといって、青少年の目に触れさせないようにすることが青少年の健全な育成に資するとはとても思えません。
名作「マイライフ・アズ・ア・ドッグ」とか、「好色一代男」とか、「源氏物語」など、十歳かそこらで性に目覚めた少年の戸惑いや恋を瑞々しく描いて見事です。
これら18歳未満の登場人物が繰り広げる幼い恋やそれに付随する拙い性愛の描写まで取り締まろうというのでしょうか。
18歳までポルノ禁止なんてじつに馬鹿げていると思います。
大体昔は15歳くらいで結婚なんてざらにあったことです。
私の祖母は17歳で結婚していますし、当時は二十歳を過ぎて独身だと大年増と言われたそうです。
非実在青少年という造語自体は削除も含めて検討中だそうですが、いい加減、人間精神の運動による成果物である作品を、わいせつだとか有害だとか言うのは止めてほしいと思います。
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