日本の歴史や文化を研究するのが私の職場の使命で、常時何人もの外国人研究者が滞在しています。
その中で、スイス人の輪島塗研究者から、面白い話を聞きました。
私が、「欧米の方は家でも靴を履いているから、水虫が多いだろう」と意地悪な質問をしたところ、彼は猛然と反論しました。
玄関に靴を脱ぐスペースはないが、圧倒的多数の欧米人は家のなかで靴を脱いでいる、というのです。
そのほうが清潔だし、気持ち良いから、と。
ただ、靴を脱ぐ傾向は若者ほど多く、年配者には少ないとか。
もしかしたらわが国の影響かもしれませんね。
床に直座りすることも多いそうです。
家に友達が何人も来れば、全員ソファーには座れないから、と。
また、ちょうど日本で愛車を土足厳禁にするように、ドアの外に靴箱を置いて、家の中には靴を入れない、という徹底した者もいるそうです。
今度は、なんで欧米人は体を洗う浴槽のすぐ隣に便器を設置するのだ?と聞いてみたいと思います。
便所はご不浄とも言う汚い場所。
風呂は体を洗って気持ちも生き返る清浄な場所。
それがすぐ隣り合っているのはいかにも気分が悪いというものです。
第一、風呂に入っているときに、家族が急に便意を催したらどうするのですか。
風呂がうんこ臭くなってしまったら、体を洗った気がしないではないですか。
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普後 均 | |
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