藤山直美の熱演が光る怪作「顔」を鑑賞しました。
暗い性格で引きこもりの中年女性、正子。
正子は母親の通夜の晩、明るく美人でホステスをしている日頃から不仲の妹を殺害してしまいます。
そこから、奇想天外な正子の逃亡劇が始まります。
ラブホテルの従業員、大分のスナック、九州の離島で漁業の手伝い、と流れていきます。
そのたびに、正子の表情は明るくなり、魅力的な女性へと変貌を遂げていきます。
子どもの頃夢だった自転車を乗り回し、会社の顧客データを盗んで会社をゆする佐藤浩一演じる元エリートサラリーマンに恋をし、それまでの引きこもりの人生の憂さを晴らすかのように弾けていきます。
藤山直美が、最初はドン臭くてひねくれた厭な女が、可愛らしい女性へと変貌を遂げていくさまを、自然に演じて、飽きさせません。
ラストでは、自転車と同様子どもの頃の夢だった泳ぐ事を、図らずもかなえてしまいます。
離島で犯人であることがばれて、浮き輪一つで海に泳ぎだすのです。
どこまでも生きようとするその姿は、感動的ですらあります。
彼女は無事に海をおよぎきりましたでしょうか、それとも力尽き、海の藻屑と消えたでしょうか、はたまた警察の船によって逮捕されたでしょうか。
いずれにせよ、正子は引きこもりだった頃とは違う、タフな女に生まれ変わっています。
人生を花開かせるきっかけとなったのが、妹を殺すことであったとは、なんとも皮肉なものです。
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