明日の夜は飲み会です。
もう五年も前に定年退職した元上司を囲んで飲むのです。
この人はあまり頭の良い人ではありませんでしたが、情にもろくて面倒見がよい、いわゆる親分肌の人でした。
今でもこの人を慕う者は多く、たまに飲み会を開きます。
私が新人の頃課長補佐で、薫陶を受けました。
その後部長で退職するまで、何かと面倒を見てくれました。
ただ、さびしいのは、加齢による衰えです。
最近は、孫の話と犬の話ばかりです。
それも毎回、同じ話を繰り返すのです。
子供叱るな、来た道じゃもの。
年寄り笑うな、行く道じゃもの。
いずれは私も衰えるわけです。
衰えない場合というのは、若死にした場合です。
現代社会では年寄りが衰え、死んでいくさまを、見ないことが多くなりました。
その代わり、孤独死が増えました。
私はそれについて、良いとも悪いとも思いません。
それが現実だ、というだけの話です。
この世に生を受けた者は、生まれながらにして致死率100%の業病を抱えています。
このことを考えると、怖ろしくて、私は身が震えるのです。