麻原回帰

思想・学問

 近頃では、テロ集団というと、イスラム過激派の専売特許の感がありますが、わが国にも怖ろしいテロを起こした集団が今も健在なのですよねぇ。

 オウム真理教は麻原彰晃の逮捕を受け、彼を教祖ではなく、元代表だとしてテロに結びついたタントラヴァジラナーヤやポアの思想を封印、麻原彰晃の写真や偶像を崇拝することを止めて、穏便な宗教団体として生き残りを図りました。
 オウム真理教の崩壊と新団体アレフの誕生です。
 しかし、脱麻原路線を推し進めていた上祐が権力闘争に敗れてアレフを脱会、ひかりの輪を立ち上げます。
 これに先立って、もっとも過激な麻原崇拝の信者たちがアレフの路線を不満としてオウム時代そのままのスタイルを採るケロヨンクラブが成立しています。

 人数が多い穏健だが麻原の教えを捨てないアレフ、麻原の教えを否定するひかりの輪、麻原の教えを忠実に守る原理主義のケロヨンクラブ

 この三つの団体が、同じ傾向を最近見せるようになったそうです。

 すなわち、麻原回帰

 アレフでは事件後使用していなかったヘッドギアを着けた信者の姿が見られるようになり、麻原の説法ビデオやテープが大音量で流されるようになったとか。
 また、ケロヨンクラブでは、温熱修行中や竹刀でたたく修行中に死者がでて、裁判になっているとか。
 反麻原を鮮明にしているはずのひかりの輪でも、公安調査庁の立ち入り検査で麻原の写真や説法のテープやビデオが押収されたそうです。

 もともと麻原を慕って集まった人々ですから、麻原回帰への願望は根強いものがあるでしょう。
 ケロヨンクラブのメンバーは麻原が収監されている小菅刑務所の塀ぞいにタントラをとなえながら何周も歩きまわり、教祖との精神的な交信を求める修行を行っているとか。

 一時破防法の適用が検討されましたが、人権を制限する法律なので適用できない、ということになりました。
 しかし、犯罪を志向する集団に対しては、人権を制限してでも一般国民の生命、財産を守るのが国家の役目。

 破防法を適用すれば、解散を命じることができ、当該団体のための活動は一切禁止されます。
 強力な法律です。
  大規模テロを決行した集団に適用できないのであれば、この法律は存在しないのと一緒。

 オウム真理教は当初選挙で国政に出、平和的に権力を握ろうとしました。
 しかしそれがかなわぬと知るや、坂本弁護士一家殺害、松本サリン、地下鉄サリンと、暴走していったのです。

 これが破防法適用の要件を満たしていないとは、私には思えません。
 事件を良く知らない若い世代の入信も増えていると聞きます。
 早く手を打たなければ、第2、第3のテロ事件が起きないともかぎりません。

 そして麻原彰晃は、処刑してしまうと殉教者になってしまうので、連合赤軍の永田洋子のように、一生刑務所に閉じ込めておくのがよろしいでしょう。 

「オウム真理教事件」完全解読
竹岡 俊樹
勉誠出版
麻原彰晃の誕生 (文春新書)
高山 文彦
文藝春秋
オウム帝国の正体 (新潮文庫)
一橋 文哉
新潮社

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