50年

文学

 今年は日米安保改定から50年だそうですね。

 当時の総理大臣の孫が総理の座を去って、現総理でもう4人目。
 前総理はまさにこの日米安保に関連する基地問題で窮地に陥りました。
 今はもう、一部を除いて日米安保の有効性を疑う人はいなくなりました。

 倉橋由美子が「シュンポシオン」という小説の中で、
反核平和教徒という言葉を使っていました。
 「シュンポシオン」饗宴、という意味で、この小説は近未来の高級リゾートを舞台に、教養あふれるお金持ちたちが、延々と酒を飲んでは政治や芸術など、様々なことを語り合う、というスタイルをとっています。

 今は絶滅危惧種ですが、80年代まではけっこう反核平和教徒生息していました。
 要するに、国防や平和について真剣に考えることをやめ、反核、反戦とわめいていれば戦争はなくなる、と信じる人々です。

 そうなれば良いのですが、そうなることがあったとしても、100年や200年では無理でしょう。

 人類の歴史をみれば、明らかです。

 社会党は、村山内閣が成立した途端、それまで頑迷に唱えていた反核平和教を棄てました。
 そして社会党は消滅への道を歩みました。
 それまで見ぬふりをしていた、現実を見てしまったのですね。

 私は、反核平和教徒ではありませんが、一部にこういう人達がいた方が良いと考えています。

 政治は現実ばかりでなく、理想も必要。しかし与党になってしまうと、現実的にならざるを得ません。
 万年野党で、理想を語り続ける人がいなければ、その理想は忘れ去られてしまうでしょう。
 そして現代日本社会は、少なくとも制度上は、多様な意見を容認することになっています。
 勇気ある少数者が、死活的に必要です。

 そういう意味で、社民党の政権離脱はまことに慶賀すべきことです。
 福島党首や辻元議員には、おおいにがんばってもらいたいものです。

 そして、共産党。この人たちだけが、一貫して主張を変えない、真性野党というべきで、その気骨は驚嘆すべきものです。
 今後も立派な野党として、信念を貫いていってほしいものです。

 与党を目指すなんてことは、絶対に言わないでね。

シュンポシオン (新潮文庫)
倉橋 由美子
新潮社