ソチ・オリンピックが終わりました。
聖火を熊のマスコットが吹き消し、一粒、涙を流すとは、ロシア人の美的感性には驚嘆させられます。
なんでも熊のマスコット、日米など西側諸国がボイコットしたモスクワ・オリンピックの熊のマスコットの孫という設定なんだそうで、モスクワ・オリンピックとは大きく異なり、史上最多の参加国・地域を集めたことの喜びと、祖父への同情を込めた涙かと思われます。
オリンピックには深い物語があるんですねぇ。
ロサンゼルス・オリンピックに16歳で出場した競泳の長崎宏子選手。
彼女の娘たちが、ジャンプで出場した高梨選手の表情を見て、写真でしか見たことのない母親のオリンピック出場時の表情とよく似ている、と指摘したそうです。
二人とも10代でオリンピックに出場し、メダルの期待を背負いながら同じ4位に終わり、謝りまくっていましたね。
大人の選手であれば勝負事に絶対は無いことをよく知っており、負けても自分なりにその結果を受け止めることができましょうが、10代の少女にはそれが難しいのでしょうねぇ。
もしかしたら、今の高梨選手の心情を最もよく理解できるのは長崎元選手だけかもしれません。
彼女はすでに40代後半となり、夫や子供にも恵まれて、一時期見せていた悔しさと、ある種の憎悪に満ちた醜い表情はすっかり消え、幸せそうです。
諦めるということが、人を幸せにするのだろうと思います。
そうでなければ、永遠に野望の達成を求めて魂の漂流を続けることになってしまいます。
高梨選手、まだ17歳ですから、次もあるでしょうし、次の次もあるかもしれません。
今はしんどいと思いますが、この国に彼女を責める雰囲気はありませんし、そんな者はまずいないでしょう。
むしろ世界で4位とは驚異的なことです。
中学や高校の試験で4番になるのですら大変なことなのですから。