30年

その他

 2015年の秋を迎えました。
 当たり前ですが、1985年の秋から30年。

 1985年という年は、私にとって人生の、その生き方が変わった年です。
 すなわち、常習的に酒を飲むようになった年。

 当時私は高校1年生の16歳。

 きっかけは、夏に友人と行った海水浴。
 海水浴とは言い訳で、本当の目的はナンパ。
 しかしそんな子供が成功するわけもなく、私たちは自棄のようにウィスキーのコーラ割りを飲んで一夜を過ごしたのです。

 その時覚えた強烈な酒の快感が忘れられず、普段から、お小遣いで酒を買い、自室でこっそり飲むこととなりました。
 未成年ですから、問題飲酒者です。
 しかし4年たてば20歳になり、単なる酒飲みになります。

 当時のことを思い出してみても、私と酒の相性が良かったことは当然かと思います。
 常に鬱屈を抱え、それは誰もが経験する当たり前の、青春の鬱屈だったのだろうと思いますが、その時は自分は特別なのだと思い込み、それを紛らわせるのに酒は最適だったというわけです。

 以来30年、私の真の友は酒となり、いやむしろ、唯一の友となったと言えるかもしれません。
 酒を飲まない人生から酒を飲む人生となって、今年は30年というわけです。

 酒はキチガイ水とも言いますから、それは愚かなことなのだろうと自覚してはいるつもりです。

 しかし酒は、私を魅了してやみません。
 365日のうち370回くらい飲んでいます。
 昼酒を飲むことも時にはありますから。

 1985年といえば、阪神の優勝にわき、時代はバブル直前の、高揚感にあふれていました。
 そんななか、私はおのれの平凡な鬱屈に苦しみ、問題飲酒者への道をひた走ったのでした。

 今、月夜のなか、酒を含むと、はるか30年前の少年の自分と、疲れた中年でしかない今の自分が、真っ直ぐにつながるような心地がして、不思議な感慨に捉われるのです。