正規雇用で働く女性が結婚し、第一子を出産した場合の離職率は、なんと6割だそうです。
あまりにも高い。
子どもを生んだら半数以上が仕事を辞めてしまうなんて、社会にとって重大な人材の喪失です。
私は某機関に務めていたとき、約60人のパートのおばちゃんやアルバイトを使っていました。
その中で最も高い能力を示していたのが、若い頃正規雇用で働いていながら出産とともに仕事を辞めた中年の女性たちでした。
学生のアルバイトなんて比べ物になりません。
しかも彼女たちは、当時はるか年下の若造だった私を直接の上司として立ててくれました。
話を聞いていると、誰もが知っているような有名大学を出た高学歴の持ち主ばかり。
学歴偏重は良くない、と言いますが、受験勉強程度のことで能力を発揮できない者に、まともな事務仕事なんてできようはずもありません。
学歴偏重ではなく、有能な人材を採っていたら、結果として高学歴の者が多かった、というのが実態でしょう。
わが国は長く、税制などで専業主婦を優遇する政策を打ち、それは高度成長期、やたらと若い者が多かった時代にはある程度功を奏したのでしょうが、極端な少子高齢化を迎えた今日、もはや女だから主婦だからと、家庭におさまってもらっては困ります。
まともな大人として、家庭や地域社会での責任だけではなく、職場社会への責任も果たしてもらわなければ。
しかし皮肉なことに、そういった頭の良い女性たちは、日本社会のからくりが今どうなっているかをよく知っていて、頭が良いからこそ、最も優遇される立場に身を置こうとするものです。
誰だって無駄な苦労はしたくないでしょうし。
私が女性だったら間違いなく専業主婦を選択するでしょう。
当たり前と言えば当たり前ですが。
それでは眠れる社会資源とも言うべき優秀な女性たちに社会復帰してもらうためにはどうするか。
簡単に言えば、所得税や扶養手当などの専業主婦優遇措置を止めてしまうことでしょうね。
ただし、それには保育園や学童保育の充実、時短勤務や育児休暇制度の徹底などが必要で、取得率が低い男性社員の育児休暇は強制的に取得させるべきでしょう。
女だから男だからと役割分担をしていられる時代は終りました。
これからは女性にも社会の重要な担い手になってもらわなければなりません。
そう難しいことではないと思います。
かつてわが国では圧倒的多数が百姓をやっていたわけで、農家では女性も重要な働き手。
つまり公家や武家などごく一部の上流家庭を除けば、日本社会は共働きが当たり前だったのですから。