性愛の文学
源氏物語の例をひくまでもなく、わが国において、というより世界において、恋愛あるいは性愛を描くのは文学の王道でした。 そして面白いことに、わが国の古典文学においては恋愛ということと性欲ということを分けて考えることはありませんでした。 また、男女間において、あるいは少年を愛する衆道において、愛する、という言葉を使うことはなく、通常は惚れるという言葉を使うことが多かったように思います。 それはすなわち、恋はあっても恋愛は無かったものと思われます。 明治に入ると、わが国における性的おおらかさは、庶民の風俗習慣はともかく、少なくとも文学の世界では性愛を描くことはタブー視されるようになりました。 森鴎外の...