時分の花
この花は、まことの花にはあらず。ただじぶんのはななり。 世阿弥の能楽書、「風姿花伝」に見られる有名な一節です。 芸本来の美とは別に、若さゆえの華やかな美しさが表れるということでしょうか。 自分が40代になって、確かに若いというだけで人は美しいと思うようになりました。 それは男も女も。 それは言ってみれば、赤ちゃんは可愛いみたいなものなのだと思います。 しかしそれは、世阿弥が指摘したごとく、所詮は時分の花でしかありはしません。 真の円熟した美とはおよそ異なるものです。 私は時分の花を咲かせる時期はとうに過ぎました。 それを惜しいとは思いません。 なぜなら、30歳くらいまで、私は存分に若さゆえの美...