精神障害

 雨が降っています。冷たい雨です。春の雨というわけにはいきません。
 こんな日には、籠り居の欲望にかられます。暖かい部屋で、ぬくぬくとまどろんでいたいものです。
 しかし、職場復帰を目指すため、障害者職業センターのリワークプログラムに参加しなければなりません。今日のメインは、SST(Social Skills Training)です。ロールプレイや問題解決技法などにより、社会生活技能を身につける、というものです。
 ひらたく言えば、困難を感じる場面を設定し、どう対応したらよいかリワーク参加者同士で寸劇をやったり、話し合ったりするのです。
 ちょっとバタ臭いやり方です。
 わが国の伝統的精神文化からいえば、困難な事態も一時限りのこと、執着するなかれ、で終わってしまうようなことを、さも大問題かのごとく、取り上げるのです。それはそれでよし。早く走る方法みたいなものです。

 傘さゝぬ人のゆきゝや春の雨

 永井荷風の句です。この人はよほどあちこちを歩き回るのが好きだったらしく、雨の日に傘もささずにふらついているのですね。しかしこの雨は、今日のような冷たい雨ではなく、春らしい、暖かい雨であるようです。

 私もまた、雨にも負けず、リワークプログラムに行ってきましょう。