アメリカンサイコ

映画

 昨夜はDVD鑑賞をしました。
 「アメリカンサイコ」です。
 リワークの友人がお気に入りとのことで、観てみました。

 1980年代後半のニューヨーク、ウォール街で働くエリートサラリーマンの虚飾に満ちた生活と、物質的豊かさでは満たされない暗い欲望を描いています。

 肉体の鍛錬を欠かさず、オイルフリーのフェイスソープで顔を洗い、ブランド物のスーツできめ、ディナーはいつも高級レストラン。夜はコカインや酒を欠かさず、婚約者と愛人がいるにも関わらず娼婦二人を同時に買い、しかも娼婦の裸より、行為中、鏡に写るおのれの肉体美に酔いしれるナルシストです。
 しかし彼の本当の欲望は、快楽殺人なのです。
 当時流行ったロックミュージックの薀蓄をたれるあたりは、「羊たちの沈黙」シリーズのレクター博士をほうふつとさせます。
 
 
映像はスタイリッシュで美しいのですが、それと対比するように怖ろしい殺人が行われます。
 そして主人公はおのれの欲求を恐れ、心の底で社会に適応できないことに苦しんでいるのです。

 凝った名刺を持っている同僚や、自分が住んでいるマンションよりも豪華な部屋に住んでいる友人、果ては予約困難な高級レストランを予約した男にまで激しく嫉妬し、殺意にまでいたります。

 金で買えない欲求を持ってしまったお金持ち。
 人もうらやむ生活をし、表面的には何も欠けた点などないのに。
 主人公の苦しみが痛々しい。

 ラストは解釈が分かれると思いますが、どういう解釈をしても、サイコ・スリラーとしての完成度の高さは変わりません。

アメリカン・サイコ [DVD]
ブレット・イーストン・エリス
東芝デジタルフロンティア