政府が新卒採用について、卒業後3年まで新卒扱いにしろ、と各業界に圧力をかけましたね。
新卒の幅を広げただけで、新卒ばかり採用する慣行には手をつけませんでした。
最近の調査で、引きこもりの平均年齢が30歳を超えたことが判明しました。
理由は二つ。
一つは十代から引きこもってたやつが十年以上引きこもっていること。
二つは就職したものの、仕事になじめなかったり、途中で病気になったりするやつが増えたこと。
他人事ではありません。
私も就職して15年目に精神疾患を発症し、長いこと仕事を休みました。
幸い職場復帰できましたが、中年引きこもりになっていたかもしれません。
老親の年金を頼りに引きこもっていた40代半ばの引きこもり男性が、親の死をきっかけに収入が途絶え、ホームレスになってしまった、という話を聞きました。生活保護を申請すればよさそうなものですが、役所で色々聞かれるのがいやで、役所に行っていないそうです。
豊川市では、引きこもり歴15年の30歳の男が、4月、父親にインターネットの接続を解約されたことを恨んで両親、弟、義理の妹、姪を次々に刺して家に火を放つ、という凶行に及びました。父親と姪が亡くなりました。
「インターネットができなくて腹が立った」そうです。
平成18年には、引きこもり当事者が親を殺害する事件が5件、親が引きこもりを殺害する事件が2件ありました。
引きこもりやニートは若者の不登校の延長という印象がありましたが、延長が延長を呼び、40代・50代の引きこもりもいるやに聞きます。
これらは生活保護予備軍ともいうべきで、このまま放置していたら生活保護が過大となり、財政を圧迫する恐れがあります。
怖ろしいのは、生活保護受給者があんまり増えると、納税者が生活保護制度に不満を抱くことです。
働かざる者食うべからず、と言って、生活保護の抑制に向かえば、憲法で保障された最低限度の健康で文化的な生活をおくれない人々が溢れかえるでしょう。
この際、職業訓練やメンタルヘルスをますます充実させるべきでしょう。
また、一定以上の規模の企業に障害者の雇用を義務付けているように、こういった人々の雇用を促すような政策が必要だと痛感する今日この頃です。
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