チリ鉱山作業員救出

社会・政治

 チリの鉱山落盤事故で、長期にわたって閉じ込められている作業員の救出作業が、いよいよ始まるらしいですね。
 
  さぞ辛かったことでしょう。
 
  私は以前、東京都現代美術館で奇妙な作品に接したことがあります。
 完全な闇を演出した小さな空間に入っていくのです。
 その空間自体が美術作品だというのです。
 解説では、真なる暗闇と無縁となった現代人は、その真っ暗な作品世界で、最初は不安を、やがて安心をおぼえる、というのです。
 しかし私が感じたのは、心からなる恐怖、一種のパニック発作のようなものでした。
 一秒もいられない、と思いました。
 作者も作品名も覚えていません。

  また、被験者を囚人と看守に分けて被験者がどういう行動をとるかを描いた実話に基づいた映画「es」では、反抗的な囚人を懲らしめるために、真っ暗な箱の中に何時間も閉じ込める、という拷問を行っています。

 チリの鉱山で閉じ込められていた空間には灯りがあり、また大勢で励まし合うこともできたことから、私が体験した現代アートや「es」での拷問とは異なるでしょうが、それでも狭くて薄暗い空間に数カ月も閉じ込められるということが、どれだけ人の精神を傷つけ、体力を消耗させるか、察して余りあるものがあります。

 それだけに、今日の日をどれだけ待ちわびたことか、その喜びもひとしおでしょう。
 狭くて暗い空間に閉じ込められることが人に何をもたらすか、これから世界は目の当たりにすることになりましょう。


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