89歳のおじいちゃんが、85歳の妻を殺害した咎で逮捕されたそうです。
なんでも日頃から妻に暴力をふるわれており、これ以上我慢できないために殺したと供述しているとか。
縁あって一緒になり、おそらくは何十年も苦楽を共にしてきたでしょうに、89歳という、そろそろ天寿をまっとうしようという年になって、妻殺しの殺人犯になってしまうなんてねぇ。
やれませんねぇ。
まだニュースでは詳しいことは報じられていなかったので推測の域をでませんが、奥さん、認知症にでもなって、理性が利かなくなっていたのではないでしょうか。
結婚当初からずっと夫に暴力をふるっていたのだとしたら、もう少し早く、夫のほうが離婚を申し出るなり逃げ出すなりしていたと思うんですがねぇ。
いずれにしろこのおじいちゃん、有罪判決をくらっても収監されることはないんじゃないでしょうか。
刑務所暮らしに耐える体力がないと判断されれば刑を猶予されることは、まれにあることです。
そうでなくても近頃受刑者の高齢化が進んで、刑務所は介護付き老人ホームの様相を呈してきていると聞きます。
なかには刑務所に入って三食介護付きの生活がしたいという動機で人を刺しちゃったホームレスのおじいちゃんがいました。
刑務所に入ることが目的だったので、相手は誰でもよかった、とか。
また殺人を犯すのは怖いので急所は外してすぐに自首したそうです。
憐れなことにこの犯人、執行猶予がついてしまい、希望はかなえられず、ホームレスに戻ったそうです。
刑務所に入るのは怖くて不自由で苦痛である、という前提が崩れ、シャバにいるより気楽に暮らせるから刑務所に入りたいなんて考える人が増えると、日本の司法制度の根幹を揺るがす問題になりますね。
かといって刑務所のイメージを悪化させるために受刑者を虐待するようなことは、法治国家では許されません。
厄介な問題ですねぇ。
89歳のおじいちゃん、妻を殺害した今、どういう心境なんでしょう。
暴力から逃れられてほっとしているのか、あるいは罪の意識に怯えているのか。
私は41歳。
48年も先に殺人犯になってしまうなんて、おじいちゃんが私の年の頃、考えたこともなかったでしょう。
私は幸いにして立ち小便とスピード違反くらいしか犯罪は犯していませんが、いつ凶悪犯になってしまってもおかしくないのですね。
自戒したいと思います。