震災が起きてから、テレビCMで色々なタレントやスポーツ選手が「一つになろう」と言うのを見かけます。
それを見ると、私は非常な戸惑いを感じます。
一つになる、とはどういう意味なんでしょうね。
まさか震災に合わなかった人々に家を壊して非常食を食えという意味ではないでしょうし、祭りや花火大会を自粛しろ、という意味でもないでしょう。
多分意図していることは、国民こぞって震災からの復旧・復興に関心を持ちましょう、という程度の意味なんでしょう。
しかし、一つになろう、という言葉。
私には、進め一億火の玉だ、とか、贅沢は敵だ、とかいうはるか昔のスローガンが思い出されて仕方ありません。
なろう、というからには、なった場合こういう状態が現出する、という予想図みたいなものがあるんでしょうかねぇ。
私には日本国民が一つになった後どういう状態になるのか、想像もつきません。
なぜなら絶対に不可能なことだからです。
一億を超える国民が、震災の復興に限ってそれぞれ関心を持ったり、ささやかな寄付をしたり、ということは絶対にあり得ません。
震災のことなど何の関心もない人もいれば、寄付を装った詐欺も横行しています。
そう思うと、今は亡きジョン・レノンの「イマジン」という曲が多くの人の心をとらえながら、一部から蛇蝎のごとく嫌われてもいるのと似ている感じがします。
一見もっともらしい、しかし人間性を観察すれば絶対に不可能なスローガンを臆面もなく口にする厚顔無恥。
私はあのCMを見るだけで顔面紅潮、手に汗握り、いたたまれない気持ちになります。
できれば、一つになろう、という言葉ではなく、無理せずのんびりやりましょう、というような、ほっとするようなメッセージを発してもらいたいものだと思います。
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