反物質(アンチ・マター)

思想・学問

 子どもの頃、物質は全て電子・陽子・中性子の組み合わせで出来ていると教わりました。
 そして、それらと逆の負荷を持った反電子・反陽子・反中性子、総称して反物質が存在する可能性がある、とも。

 これら反物質を人工的に作り出すことができ、現に作ったこともあるが、物質と反物質は同時に存在することができず、両者が接触すると両者とも消滅してエネルギーに変化し、ガンマ線になって飛び散ってしまうので、作っても貯蔵が極めて難しいと言われていました。

 ところが先日のニュースで、欧州原子核研究機構(CERN)は、これまで1秒も保持することのできなかった反水素原子を1000秒も保持することに成功したと発表しました。

 反物質は宇宙誕生時、物質と同程度存在したと考えられていますが、現在ではほとんど存在していないことになっています。
 なんで消滅してしまったのか謎で、このたびの実験成功により、水素原子と反水素原子を比較することでその謎が解明されるのではないか、と期待されているそうです。
 また、反物質を大量に長時間貯蔵できれば、物質と接触させることによって莫大なエネルギーが得られるため、宇宙開発など莫大なエネルギーを必要とする事業に応用できるそうです。

 ここまでは、私の苦手な理系のお話。
 私は国文科卒のガチガチの文系人間。

 もし反物質というものが物質と同様に存在可能なのだとしたら、反犬とか反人間とか反水とか反地球とかいうものも存在可能なはずです。
 反物質の特徴は、電荷が物質と逆なだけで、他はそっくりということですから。
 そして反とびおなる者がいて、私、とびおと握手しようとすると、接触した瞬間にお互い消滅して巨大なエネルギーが生まれるということになるのですね。

 似た者同士なのに、永遠に分かりあえない分身。
 その反発しあう強力さは、可愛さあまって憎さ100倍のようなものでしょうか。
 ドッペルゲンガーという、自分そっくりの者を見てしまったら、近いうちに死亡する、という話にも似ていますね。

 上述のニュースに接して、私は反私に出会って、反対の私もろとも私を消滅させて、私と反私でできた巨大なエネルギーで世界を焼き尽くしてしまいたい、という冥い欲求を感じずにはいられません。

消えた反物質 (ブルーバックス)
小林 誠
講談社
反物質―消えた反世界はいまどこに?究極の鏡の謎にせまる
G.フレーザー,澤田 哲生,佐藤 勝彦
シュプリンガー・フェアラーク東京

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