最近、ホルミシス効果という言葉を知りました。
それを知って不思議なような当たり前のような。
ホルミシス効果( hormesis)は、生物に対して通常有害な作用を示すものが、微量であれば逆に良い作用を示す生理的刺激作用をいい、特に自然放射線の人体への健康効果を指します。
これが大雑把な定義です。
要するに、放射能でも、微量であれば人体に害を及ぼさないばかりか、体に良い効果がある、ということらしいです。
アルコールなんかも、昔から酒は百薬の長などと言われ、少量であればかえって健康を促進することは広く知られています。
また、いわゆるワクチンと呼ばれる薬も、毒をもって毒を制すの類で、わざわざ体に有害な物質を注射することで、その有害物が大量に体内に入ってきた時に体を守ろうという発想です。
面白いのは、広島・長崎での被爆者のその後の健康調査です。
被爆時、20ミリシーベルト程度であった人は、被爆していない人よりも癌の発生率が著しく低く、長寿だというのです。
ホルミシス効果は抗癌作用が高いことが最も良く知られており、原爆といえども例外ではなかったのですね。
私の母親は長崎で4歳の時被爆していますが、70歳の今日もいたって元気で、まだまだ長生きしそうです。
時折見かけるラドン温泉とかラジウム温泉とかいうのも、放射線を含んだ温泉ということで、先人たちは放射線の何たるかは知らなくても、微量なら健康に良いらしい、ということを知っていたのでしょう。
ただ注意しなければいけないのは、あくまで微量であれば、ということでしょう。
そもそも私がこの効果を知ったのは、これをもって福島原発の放射能漏れを恐れるべきではない、とする小論文に拠っています。
つまりこの効果を声高に宣伝することで、ロジックのすり替えが行われる可能性が否定できず、放射線は体に良いのだから、放射線量に目くじら立てるな、という主張になってしまうのではないかと、危惧しているのです。
微量なら体に良いとはいえ所詮は人を死に追いやる劇薬。
福島原発で作業するみなさんには、いくら注意深くしてもしすぎるということはありません。
元外交官が新聞でホルミシス効果を紹介したのはなぜなんでしょうね。
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藤野 薫 | |
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