いつでしたか、仙谷官房長官(当時)が、公務員制度改革に関連して、経済産業省のキャリア官僚に、国会の場で「彼の将来に傷がつく」と恫喝ともとれる発言をしたことがありました。
厭らしいことを言うやつだなあと思いましたが、そのキャリア官僚が、このたび事務次官から、「君にふさわしいポストはない」と、自主的な退職を求めたそうです。
キャリア官僚はこれを拒絶しましたが、同時に就職先を探してもいるそうです。
経済産業省のキャリア官僚なら、大学教授や民間の研究所など、就職先はたくさんあるでしょう。
しかしそれは、民主党だか経済産業省だかが妨害しなければ、の話。
これまでの経緯を見ると、すんなり就職先が見つかるとも思えません。
この人はとくに仕事を与えられず、視察目的で四六時中出張させられ、出張しては中身のない出張報告書を書く日々が続いていたとか。
露骨な嫌がらせですね。
しかしそれでも自主退職しないため、ついに事務次官直々に引導を渡しにきたというわけです。
組織で働いていて一番気持ち悪いのが、この手の話ですねぇ。
べつに賄賂をもらったわけでもなく、真面目に与えられた職務をこなしていたら、時の政権を困らせるほどの手腕を発揮し、それがゆえに身内の経済産業省からも守ってもらえず、嫌がらせを受けても辞めなかったら、露骨に退職を迫られるとは。
嫌ですねぇ。
正直に言って、脳の働きが鈍いのでは、と思えるような人や、何が言いたいのかわからないけどやたらと興奮して自己主張する人とか、仕事中に泣き出す人とか、辞めてくれないかなあと思う人は時々います。
私も長期の病気休暇を取っていたときには、口には出さないまでも辞めてほしいと思った人は多いでしょう。
しかし人はそれぞれ。
縁あって同じ職場で働くことになった人には、合った職種について活躍してもらいたいと思います。
それには事情や能力が異なる人々を人として尊重することが第一。
互いの立場を認め合い、尊重し合えば、無闇に人に退職を迫るようなことは起こらないのではないでしょうか。