首相の四面楚歌は、哀れをこえて滑稽の域である。
嫌われ者から、怖いものなしの道化へと。
ただ、作家の池澤夏樹氏が 「ぎりぎりまで居座り、改革を一歩進めてほしい」 と書くように、「脱」 路線そのものは共感を呼んでいる。
そう、道化にしか吐けない正論もある。
上は7月16日の朝日新聞、天声人語の末尾です。
菅総理にはマスコミも役人も同じ民主党内にさえ、有力な支持者はいないのかと思っていましたが、意外や意外、日本をリードするオピニオン紙、朝日新聞が支持していたのですねぇ。
でも可笑しいですね。
道化にしか吐けない正論があることはそのとおりだと思いますが、道化では政治家、まして首相は務まらないと思いますがねぇ。
道化が吐く正論とはいわば風刺みたいなもので、芸人や小説家など、何の権限もない人が吐くから寸鉄人を刺す迫力を帯びるのであって、最高権力者がそれを吐いたら恐怖政治につながってしまいます。
首相は決して道化であってはならず、道化に堕すと思ったら潔く辞めることです。
そもそも、池澤夏樹氏が書く改革とは、そもそも何でしょうか。
菅総理が国民に謝罪するとまで言った破綻が明らかなマニフェスト、すなわち子ども手当や高速道路無料化などのバラマキ及び在りもしない霞が関埋蔵金の発掘による予算の補填でしょうか。
それとも突如言いだした脱・原発のことでしょうか。
脱・原発だったら菅総理自ら画策していると言われる衆議院解散をして民意を問う必要があるでしょうし、マニフェストだとしたら何をかいわんやということになるでしょう。
いったい天声人語は菅総理に何を求めているのか私には読みとることが不可能です。
原発の話は、エネルギー政策の大転換なので、それこそイタリアが行った国民投票に相当する選挙が是非とも必要で、支持率が20%を切るという驚異の低支持率の内閣が軽々しく行うべきではありません。
もし原発を止めるのならば、代替の発電をどのように確保するのか、また、今後延々と今夏のような節電を国民に求めるのか、コストはどうか、すでに海外に売り込みをかけ、それが成功した原発の建築契約はどうするのか、など、難問山積です。
ただちに原発を止めれば電力が不足することは分かり切っているので、いずれにしろ完全に原発から撤退するのはまだ先のこと。
もう少し考える時間が誰より総理ご自身に必要なのではないでしょうか。