陰翳

思想・学問

 昨夜、リビングの照明が切れてしまいました。
 エアコンに続いて、我が家の家電はリビングを狙い撃ちです。
 寝室と書斎の照明は無事なので、とくだん問題はないのですが、家で過ごす時間の多くをまかなうリビングに照明がなく、エアコンもつかないのでは、電気を止められたわけもないのに、貧窮問答歌 のような気分になります。

 しかし、ものは考えよう。

 幸い昨夜は涼しかったので、窓を開けて涼をとり、谷崎潤一郎「陰翳礼賛」を思い出しつつ、ロウソクの炎で、リビングを照らしました。
 電灯が普及するまでは、日本国中、夜はほの暗かったのでしょうね。
 ロウソクの灯りというのは、なんとなくロマンティックな感じがします。
 薄暗いとよけいな物が見えないせいか、何もかもが美しく感じます。

 そういえば、バーの照明が薄暗くしてあるのは、女性が美しく見えるようにするためだとか。
 若く美しい女性と飲んでいても、毛穴まで見えてしまうような煌々たる灯りの下では、興ざめというもの。 

 薄暗ければ、少々ブサイクでも、皺やシミがあっても、気にならないというものです。
 谷崎翁、女好きだけあって、年をくってもなかなか良いところに目をつけたものです。
 女好きの面目躍如といったところでしょうか。

陰翳礼讃 (中公文庫)
谷崎 潤一郎
中央公論社
新選万葉集 VOL-7 山上憶良「貧窮問答歌」 [DVD]
高月希海,佐々木健,山口博
イーネットフロンティア

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