パリ人肉食事件というショッキングな事件が30年も前にあったことを覚えている人は少なくなったのではないでしょうか。
佐川一政という日本人留学生が、パリでオランダ人の女子留学生を殺害して食ってしまった事件です。
彼は心神喪失で無罪になり、帰国後、著述業で身を立てています。
食ったがゆえに無罪になり、食ったがゆえにマスコミで泳ぎ続ける男。
処女作「霧の中」は事件のことをストレートに告白したもので、出版を意図していなかったせいか、迫力ある内容です。
しかしその後、今も食人願望に悩まされ、白人女ばかりの風俗に通っては殺して食いたい、という欲求を堪えているというような、事件を売りにするような駄文ばかりを物し、食いつないでおり、その内容も文章も、唾棄すべきものです。
事件への反省の弁は見られず、旨かっただの、またやりたいだのと書き散らし、それを掲載する雑誌もひどいものですが、被害者や遺族に対する侮辱を30年も繰り返すその神経はまったく理解不能です。
そうは言っても、フランスの最高裁判所が無罪とした以上、刑務所に入れることもできず、入院していた精神病院が治癒したと言って放り出したため、彼には完全に人権と自由を認めざるを得ません。
それが法律というものですから。
快楽殺人、快楽のための人食い、レイプ、痴漢、性犯罪は極めて再犯率が高く、私は佐川一政にしても酒鬼薔薇聖斗にしても、釈放された性犯罪者は危険な存在であり、終始監視の目を怠ってはいけないと考えています。
「霧の中の真実」という無罪放免後の生活を描いた佐川一政の著作を読んで、不愉快になってしまった私です。
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佐川 一政 | |
彩流社 |