人工細胞

思想・学問

 化学物質を使って人工的に合成した細胞を、生きもののように自己増殖させることに、菅原正東大名誉教授らのチームが成功し、5日、英科学誌ネイチャーケミストリーに発表したそうです。
 内部にはあらかじめDNAを入れており、DNAの入った人工細胞を増殖させたのは世界初だとか。
 快挙であることに違いないのに、なぜかスペースシャトルの打ち上げや、新薬の発明に比べて、何となく後ろめたい気持ちがするから不思議です。
 人工細胞が自ら増殖を始めたということは、人間由来の生物が誕生する可能性があるということで、見方を変えればすでに誕生してしまった、ともいえます。

 生命の定義の問題になりますが。

 しかし太古の昔、生物は微細胞が始まりだったと考えられ、人工細胞も最小単位の生物と考えるのが正当なのではないでしょうか。
 この人工細胞、色々な医療に応用できるようですが、例えば不妊治療に有効となった場合、生まれた子は何者なんでしょうね。

自己増殖した人工細胞です。

 
これらの細胞を使い、生命の起源に迫ろうとする研究者も出てくるでしょう。
 しかし過去、同じようなことが起こったと、どうして言えましょう。

 昨日観た「コンスタンティン」で、主人公の悪魔祓い師が、神は瓶の中で蟻を飼ってる子どもと同じさ、蟻一匹一匹のことなんて興味はない、というセリフがありました。
 もしそうなら、生まれたばかりの人工細胞にとって、研究グループはまさに創造主そのもの。
 創造主の本性が狡猾で、好戦的で、自分の利益にしか興味のないやつばかりだと知ったら、人工細胞たちはこれ以上の進化を拒否するでしょう。

 早くも倫理的な問題が持ち上がっているようです。

  しかし私は、少し違った考えを持っています。
 人間は地球で生まれて地球で死ぬ地球の自然物。
 かつて農業によって地球環境を大破壊しましたが、それは自然物が生き残るために自然物が持っている能力を発揮しただけのこと。
 つまり自然物たる人間は、それがどんなことであれ、持てる能力を発揮することに躊躇する必要などないのです。
 かつて人工授精による出産には、強い反発がありましたが、今では当たり前のことになっています。
 人間が可能な程度のことは、核弾頭の製造であれ、人工細胞であれ、所詮は自然物を加工して作った幼稚なものにすぎません。
 枯れ枝で作ったビーバーの巣と同じようなものです。

  それら人間の能力が人間自身を滅ぼし、あるいは地球を死の星と変えるのだとしたら、正にそれが、人間という種の使命だったのだとでも言う他ありません。

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