鉢呂前経済産業大臣の辞任記者会見で、前大臣に暴言を吐いた記者が、後日、前大臣の事務所に謝罪に訪れたそうです。
所属も名前も名乗らず、
「具体的にどう仰ったんですか。あなたね、国務大臣をお辞めになられるんだから、その理由ぐらいきちんと説明しなさい」
「何を言って不信の念を抱かせたか説明しろって言ってんだよ!」
「何を言ったからだってんだよ!」
などと怒鳴り、その姿がテレビで放送され、批判が集中したとのこと。
謝罪を受けた前大臣は、
「私はなんとも思っていません。部長さんにも部下を責める必要はないと言いました。まあ、仕事ですからね」
と、大人の対応をしたそうです。
私も何度か大手新聞社やテレビ局の方と仕事上のお付き合いをしましたが、判で押したように威張り散らしていましたね。
下手な対応をしたら書くぞ、ということなのでしょうが、あんまり威張り散らすと、今度はそのことがマスコミ側を追い詰めるとは、面白い一件です。
マスコミは第4権力などと言われ、高度大衆社会では最も力があるようなことを言う学者がいますが、それは虚妄ですね。
そんな気がするだけで、大した力は持っていません。
それを自覚しているから、弱い犬ほどよく吠えるの伝で、威張り散らすのでしょう。
一方、立法・行政・司法の第1~第3権力を握っている与党政治家や高級官僚や検察・判事は、慇懃無礼と言われるほど腰が低いですね。
あれはいざとなったら警察でも自衛隊でも、鉄砲を持った実力組織を動かすことができる、という自覚から、威張っているようなそぶりを見せてはいけない、と自己抑制が働くのでしょう。
もし警察庁長官や防衛大臣が、ちょっとした事件で治安出動なんてことを言い出したら大変なことですし、財務省や経済産業省が為替介入を日銀に要請するようなことを口にしたら、世界に与える影響は測り知れません。
要するに、立場の弁えですね。
組織で働く時は、立場を弁えなければなりません。
ただし、あまりにもおかしげな言動を取る上司が現れた場合には、きつくお諌め申し上げるのも、部下たるものの立場の弁えです。
まあ、そういう人は滅多にいません。
また、私のように上司を諌めることを重んじるあまり弁護士を立てて謝罪と損害賠償を求める者も滅多にいないでしょう。
滅多にいない上司と部下が、不幸な出会いをして、あの一件は起きたのです。
文書による謝罪と損害賠償100万円をもらい、決着してもう五年近くになりますが、今でも思い出すと腹わたが煮えくりかえりますねぇ。
とにかく部下であれ上司であれ、また年下であれ年上であれ、社会人同士なのですから、きちんと敬語を使い、相手を尊重することが、立場の弁えの基本なんでしょうねぇ。
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