歩く

散歩・旅行

 私にとって秋は、芸術でも読書でも食欲でも、ましてスポーツでなどあるはずもありません。
 秋は散歩と決まったのです。
 歩くに適した季候で、春ほど物思わしくも物狂おしくもなく、愁いを帯びてもいない秋こそ、すべからく人は歩くべきなのです。
 移動の基本は霊長類が二足歩行を始めたときから、歩くことなのですから。

 さて、本日は、都営大江戸線の春日駅で降り、白山方面へと歩き出しました。
 春日という地名は、三大将軍家光の乳母、春日局からきているそうです。
 
 駅のすぐ近くに、こんにゃく閻魔という看板があり、行ってみました。

 正式名称は源覚寺という浄土宗のお寺です。
 江戸時代、目の悪い女がここの閻魔像に眼病平癒を祈願し、満願の暁には好物のこんにゃくを絶って閻魔様にお供えする、と願掛けしたところ、眼がよくなったため、毎日こんにゃくをお供えしたことから、今もこんにゃくをお供えする人が後を絶たないのだとか。


 しかしお寺の人、困ってるでしょうねぇ。
 こんなにこんにゃくをお供えされては。
 それにしてもこんにゃくとは、ずいぶんしけた物をお供えしましたね。
 本当は酒とか鯛とかを断ちたくなかっただけなんじゃ、と邪推したくもなります。

 そしてなぜか、境内には塩地蔵なるものもありました。
 けったいな代物です。

 さらに裏道をあっちをふらふらこっちをふらふらしていたら、八百屋お七の墓地があるという寺にたどりつきました。
 円乗寺というのです。
 八百屋お七といえば、火事の時寺から逃げ出してきた若い坊主に懸想して、会いたさがつのり、もう一度火事になれば寺から出てくるのではないかしらん、と浅はかな謀をめぐらして付け火をし、江戸を大火に陥れた罪で火刑に処せられた大罪人。
 なんでそんな罪人の墓があるのじゃ?と思って行ってみると、なるほど、後の歌舞伎役者がこの話を芝居にしたら大当たりをしたというので、感謝の気持ちで建てた物。
 役者の売らんかな精神に感服しました。


 その後東洋大学の構内をぶらつき、私学は綺麗だな、なんて思いつつ、都営三田線の白山駅から帰路につきました。

 歩数は10,822歩です。
 気分爽快。

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