春の嵐

文学

 台風のような雨や風をもたらす低気圧が首都圏に接近中です。
 首都圏の電車は早くも一部運休になったり、間引き運転をしています。
 台風が来るとすぐに止まる、海の上を走る京葉線はすでに全面的にストップしたようです。
 私はそんなニュースを見ながら、暖かい部屋でこの記事を書いています。
 職場の温情に感謝です。

 春の嵐というと、もう30年近く前、中学生の頃に読んだヘルマン・ヘッセの小説を思い出します。
 私は14,5の頃、ヘルマン・ヘッセの作品を耽読しました。
 ドイツ教養小説と称せられますが、それほど単純なものではないでしょう。

 「春の嵐」は、芸術的衝動を抑えきれずに音楽家を目指す主人公が事故により身体障害者となり、絶望のどん底にありながら音楽に慰めや高揚を覚えるさまが、まわりの人間関係とともに、繊細に描き出された秀作です。
 
 孤独の本態とは何者か、また幸福にいたる道とは何か、を問いかけてくるヘッセ前期の名作ですね。

 後年、彼は東洋思想に目覚め、その作風は大きく変わっていきますが、「春の嵐」はそれよりも前、西欧的な教養を素直に信じていた頃の作品で、それだけに純粋な感じがします。

 文庫本で読めるので、お勧めです。
 私も今日の嵐のなか、「春の嵐」を読み返したい気分です。

 でも、手元にはもう無いのです。

 私が実家に住まいしていた頃買った本は、1人暮らしを始める時にほとんど売ってしまいました。


 ずいぶんあったのですけどねぇ。


 もし今、それらの本が今住まいするマンションに出現したら、懐かしくて涙してしまいそうです。


春の嵐―ゲルトルート (新潮文庫)
高橋 健二
新潮社

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