毒杯

思想・学問

 ソクラテスというと、どういうイメージを持っているでしょうか。

ソクラテスです。

 古代ローマの偉大な哲学者、有名な無知の知、青年を惑わした罪で死刑に処せられたことなどなどでしょうか。

 ソクラテスより賢い者は存在しない、という神託を知ったソクラテスは、驚き怯えました。
 そしてその神託が間違いであることを証明するため、多くの賢者と呼ばれる人々を訪ねては対話を行ったそうです。
 その結果、賢者と呼ばれる人たちは狭い知識に拘泥し、自分が知らないことがたくさんあることを認めませんでした。

 そこでソクラテスは、「自分自身が無知であることを知っている人間は、自分自身が無知であることを知らない人間より賢い」「真の知への探求は、まず自分が無知であることを知ることから始まる」という、無知の知を発見し、神託が正しかったことを知るのです。

 しかし考えてみれば迷惑な男です。
 突然訪ねて来ては論争をふっかけ、自分のほうが賢いことを確認して去っていくというのですから。
 しかもソクラテスの行動はアテナイ市民の間で有名になり、対話を見物に行く若者が後を絶たず、公開試合の様相を呈していったようです。

 行動が行き過ぎたのでしょうか、ソクラテスは青年たちを惑わした罪で死罪を賜り、減刑を求めることもせず、牢番はソクラテスが逃げられるように牢の鍵をあけっぱなしにしておいたにも関わらず逃げることもせず、自ら毒ニンジンの入った毒杯をあおり、亡くなったとか。

 紀元前399年4月27日のことでした。

 これには後日談があります。

 ソクラテスの刑死の後、(ソクラテス自身が最後に予言した通り)アテナイの人々は不当な裁判によってあまりにも偉大な人を殺してしまったと後悔し、告訴人たちを裁判抜きで処刑したというのです。

 間抜けな話ですねぇ。
 告訴して裁判を行い、その結果刑死したのなら何の問題もないはずなのに、告訴した人たちを裁判なしで殺してしまうなんてねぇ。
 その行いが全然偉大でも正しくもないですね。

 今日は古代ローマの偉大な魂が刑死した日。
 わが国では哲学の日として祝っています。

 2400年の時を超えて、偉大な哲学者の声を聞けると嬉しいですねぇ。

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