インドのスズキの子会社の工場で、大規模な暴動が起きたそうです。
工場は焼き打ちされ、多くの被害者が出たとか。
背景には、低いカーストの従業員を派遣として低賃金で働かせ、働けど働けどわが暮らし楽にならざり、という切実な動機があったようです。 焼き打ちされた工場です。
中国においても賃金の上昇がとまらず、世界の工場はミャンマーなど、より人件費の低い国に逃げているとか。
少しでも多くの賃金が欲しいと思うのは、万国の労働者共通の思いでしょう。
一方企業は少しでも賃金を押さえ、利益を生もうとします。
永久に相いれない労使が、一緒の組織で働くということは、大変なことですねぇ。
わが国でもかつて、米騒動やら打ちこわしやらの物騒な事件が頻発した時期がありました。
現在では反原発とか反核とか、わが国のデモは専ら政治的な意味合いを強め、賃金を挙げろ、という騒動はほとんど起こらなくなりました。
スペインでは公務員が給与削減に耐えてきたところ、冬のボーナスを支給しない、という方針をスペイン政府が打ち出したことから、公務員の賃上げを求めるデモが頻発しているそうです。
お金の話は下品というか、あんまり触れたくない話題ではありますが、勤労者にとって最も切実な問題であることも事実。
私の職場も政府の方針に従って、平均約8%の賃金カットが実施され、それは月給はもちろん、残業代、ボーナスにも及ぶため、わが家の家計は火の車です。
しかし、それでもまだ耐えられる範囲です。
それが国家のためとあらば、甘んじて受ける他ありません。
しかし、生活保護以下の賃金しかもらえないとなれば、話は別でしょう。
働かないで生活保護をもらった方が良い、ということになってしまいます。
インドの場合、カーストという身分制度が厳然として残っていることが、問題を複雑にしています。
同じ労働をしても、高いカーストであれば正社員として雇われ、低いカーストであれば派遣社員として低い賃金で働かざるを得ないというのは、どう考えても不公平です。
インドでは、前世で善行をつめば高いカーストに生まれ変わり、悪行を行えば低いカーストに生まれる、という迷信が根強く残っているやに聞き及びます。
個別具体的な会社の労使関係の問題よりも、インド社会にはびこるカーストという身分意識を改革することが早道のような気がします。