英誌エコノミストの9月22号は、表紙に尖閣諸島の写真を掲げ、こんなちっぽけな島のためにアジアは本当に戦争をするのだろうか?と言う問いかけを掲載しています。
30年前、大西洋の小さな島をめぐってアルゼンチンと戦争をしたことをお忘れのようです。
通常、冷静な判断ができれば、現代社会において戦争を起こしても、利益よりも損失のほうがはるかに大きいのは明らかで、したがって戦争など起こりようがありません。
100年前の帝国主義列強が覇を競った時代とは違います。
ただし、冷静な損得勘定ができなかった場合、あるいはそれを何らかの理由で放棄した場合、状況は異なります。
片方の当事国が何が何でも戦うのだと決意した場合、もう一方の当事国は冷静さを失わなかったとしても、国土を守るためには応戦せざるを得ず、一端戦争となったら勝利のためになんでもする総力戦となるでしょう。
私は現代の中国が日本と戦争をしてでも尖閣諸島を武力で奪い取ろうと決意することはないだろうと考えています。
それはあまりにリスクが高く、失うものばかりで得るものが少ないからです。
とくに先般、米国は空母2隻を中心とする巨大艦隊を太平洋に展開させて中国をけん制しました。
尖閣諸島という太平洋への入り口を中国には決して渡さない、という強い意志の表明でもありました。
わが国の海軍力だけでも中国にとっては脅威なのに、それに米海軍が加われば、中国はしっぽを巻いて逃げだすしかないでしょう。
ただし、上にも書いたように、中国が冷静な判断ができない場合、もしくは意図的にそれを放棄した場合はそのかぎりではありません。
反日デモというより暴動・略奪と言うべき行動を起こした中国人民の怒りの矛先をあくまで日本に向けようと考えた場合、日中の間で紛争が起こる可能性は有り得ます。
現在中国は軍艦こそ寄こさないものの、海上警備船などを毎日尖閣周辺に送り込んで、消耗戦を仕掛けています。
これは海軍力ではわが国に及ばないための戦略かと思われます。
しかもわが国の海上保安庁が疲労の色を見せず、意気軒昂であることにいら立っているご様子。
個人が狂うことはあまりないが、集団はだいたい狂っている、と言ったのはニーチェでしたか。
示唆に富んだ言葉だと思います。
中国政府におかれましては、冷静な判断を切望します。
![]() | 超訳 ニーチェの言葉 |
白取 春彦 | |
ディスカヴァー・トゥエンティワン |
![]() | 超訳ニーチェの言葉II |
白取 春彦 | |
ディスカヴァー・トゥエンティワン |