勝ち負け

社会・政治

 某質問サイトで、35歳独身は負け組ですか、という質問が寄せられ、様々な回答がなされていました。

 もういい加減勝ちだとか負けだとか言うのは止めて欲しいですねぇ。

 数年前、「負け犬の遠吠え」という本が話題になりました。
 30歳以上で未婚、子無しの女は負け犬だ、という論旨で、著者自身が負け犬だということでした。

 人の人生は多様なもの。
 それをある限られた条件を元に勝ちだとか負けだとか決めつけるのは、馬鹿馬鹿しいというも愚かな行為です。

 大会社の社長は勝ち組で、日雇い労働者は負け組でしょうか。

 私はそうは思いません。

 それはお金はあったほうが良いし、生活に余裕があれば精神的にも楽でしょう。
 いつもお金の心配をしているのはしんどいと思います。
 また、結婚して子どもができれば、子どもの成長や、夫婦で労わり合って暮らすこともできるでしょう。
 しかし、子どもが非行に走ったり、夫婦仲が冷え込むことはよくあることで、独身を貫いていればそんな煩わしいことに思い悩むことはありません。

 要はその人が幸福感を感じながら生活できるかどうかが重要です。
 幸福感を感じるポイントは人それぞれ。
 子どもの成長が何より楽しみという子煩悩な親もいれば、子どもなんか邪魔なだけだとばかり、子どもをうっちゃって遊び呆ける親や、はなはだしきにいたっては、子どもを虐待する親もいます。

 酒さえ飲めれば幸せと言う人、ギャンブルをしている時にだけ生きがいを感じる人、スポーツが何より好きな人、読書や観劇、映画鑑賞を好む人。
 また、大勢で騒ぐのが好きな人、一人静かに過ごすのが好きな人、じつに様々です。

 人は多様なもので、自分の価値観とは全く違う感覚を持った人が大勢いることを自覚し、自分とは違う価値観を持った人を尊重することが重要です。

 かく言う私は、陽気が良い時には街歩きを楽しみ、日々晩酌を楽しみ、文学であれ映画であれ、古今の名作に親しむことを何よりの喜びとします。
 そんな私には、子どもなんていりません。
 邪魔なだけです。

 子どもがいないというだけで負け犬と言われたんではたまったものではありません。
 ただ、先祖から脈々と受け継いだ遺伝子を縦につなぐことが出来なかったのは、ちょっと残念な気もします。

 でも今からでは無理でしょうねぇ。

 それでも今、長い病気休暇を経て職場復帰して2年半、日々忙しく働けていること、帰れば旨い酒を飲めること、時折散歩や読書、映画鑑賞を楽しめるだけで、十分幸福です。

 病癒えて幸福感を感じることができるようになった今、私は勝ち組だと思っています。

負け犬の遠吠え (講談社文庫)
酒井 順子
講談社


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