パレスチナ自治区ガザでまたもやイスラエルとハマスが大規模な交戦状態に陥ったようです。
イスラエルは予備役の兵士7万人に動員をかける準備をしているとか。
イランに対しては核開発施設を空爆するとも伝えられます。
このままでは第5次中東戦争が勃発しそうな勢いです。
そうなるとわが国は第3次オイルショックになってしまうのでしょうか。
はた迷惑な話です。
もともとは大英帝国がアラブ諸国とユダヤ人に二枚舌を使ったことでイスラエルが建国され、その後中東で安定した平和が維持されたことはありません。
ユダヤ人はナチス・ドイツから激しい迫害を受けましたが、パレスチナの民がテレビのインタビューで、「ヒトラーは正しいことをやった。ただし、それをやり遂げることができなかった」と発言していて驚いた記憶があります。
戦後、わが国でも、また世界の多くの国でもヒトラーは悪の権化のように扱われていますから。
しかし、立場が変われば見方も変わり、イスラエルと厳しく対立し、イスラエルから迫害を受けてきたパレスチナ人から見れば、ユダヤ人絶滅を目指したヒトラーは英雄なのでしょう。
生死をかけて戦いを望む者などいないはずなのに、国家や集団の利益を守ろうとすると、にっちもさっちもいかなくなって、結局は殺し合いに突き進んでしまうのは人間という種の限界のようです。
あまたの思想家や宗教家、政治家などが恒久平和を願い、運動を起こしても、今のところ成功した試しがありません。
わが国は奇跡的に67年間、平和を維持しています。
これは軍事的に米国の属国に甘んじることによって得られた果実であり、あまり誇れることではありません。
憲法9条があるから平和が維持された、という人も時折見かけますが、警察予備隊ができ、それが保安隊、自衛隊と進化するなか、事実上憲法9条は廃止されたと私は見ています。
9条の解釈はどんどん拡大し、今では核兵器の保有ですら9条違反に当たらない、とする説を唱える学者や政治家も登場しています。
自衛のための戦力は9条違反ではないからだそうですが、核兵器が自衛のためとはちょっと筋違いなような気がします。
757年に成立した養老律令が、実際には平安中期頃には廃止されたのに、とくに廃止を規定する法律がなかったため、形式的には明治維新まで生きていたようなものです。
法律がありながらそれを放置し、そんなの関係ねぇとばかり、現実に合った政策を打っていくのはわが国指導者の得意とするところのようです。
そう考えると、憲法改正を声高に唱えるのは虚しいことのような気がします。
実際には改正が行われたのと同じ事態に陥っているからです。
もし9条のおかげで67年間の平和が維持されたのだとするならば、これは人類史上例をみない画期的な出来事になります。
紙に書けば平和が訪れるなんて、人間を超えた神業と言うべきでしょう。
しかし悲しいかな、わが国は戦後一貫して米国に追随して核兵器廃絶に反対し続け、米国が引き起こす戦争に協力し、おかげさまを持ちまして大量の在日米軍に守られて平和を維持してきたというわけです。
多分総力戦を戦って敗れた国は、その後200年くらいは勝った国の言いなりにならざるを得ないんでしょうね。
紙に書けば平和が維持できる、そんな魔法が使えたらどんなに良いことでしょう。