ロシアに程近いリトアニアの寒村。
ここにはソビエト連邦時代にチェルノブイリ型原発が建設され、ただの寒村だったのが、多くの労働者、技術者、またそれらを相手に商売する飲食店や商店が進出し、たいそう栄えたそうです。
しかし、原発稼動から3年後、チェルノブイリ原発事故が発生、リトアニアも稼動停止に追い込まれ、みるみる街は衰退していったそうです。
電気料金は6倍にも跳ね上がり、冬場の暖房にも困るほど。
ジリ貧を続ける村は、最新鋭の安全な原発を新設するしかないと、このほど日立製作所の最新鋭の原発新設に大きく舵を切りました。
リトアニアでは地震が起きたためしがなく、福島のような心配が無い以上、日本製の原発が最も信頼できる、という判断が働いたようです。
これに待ったをかけたのが隣の大国、ロシア。
リトアニアで使用する電力の8割はロシアからの輸入でまかなわれており、これが自力で供給できるとなると、ロシアにとって痛手ということのようです。
そこでリトアニアでは、まさに今、日露の間でエネルギー会戦が行われている、とさかんに報じられているようです。
わが国では原発をめぐっては議論百出。
再稼動への道は遠く、そうかといって代替エネルギーを確保するあてもなく、先祖がえりして火力発電に頼っている体たらく。
英国でも日立の原発を新設しようという動きが始まっているやに聞き及びます。
わが国ではあまり報じられませんが、エネルギー政策をめぐっては、各国政府および各国国民の思いが入り乱れ、じつに奇っ怪な様相を呈しつつあります。
原発事故といえば、米国のスリーマイル、旧ソ連のチェルノブイリ、わが国の福島と、先端技術を持ち、安全であったはずの国家で起こっています。
クリーンだとか安いとか言っても、やはりどこか疑わしい存在になってしまった原発。
卒原発を掲げて衆議院選挙戦った日本未来の党は惨敗し、しかも分裂、事実上崩壊してしまいました。
それだけをみれば、民意は原発再稼動を容認しているかのように見えますが、遠い将来には全廃するしかないことは明らかだと思います。
しかし現在なすべきことは、原発を含めたエネルギーの安定供給であり、それに続いて原発廃止への行程を考えることでしょう。
私は全廃には少なくとも30年は必要なのではないかと考えています。