北朝鮮で人肉食?

文学

 北朝鮮が核実験を強行したことが大きな問題になっています。

 報道によると、北朝鮮の国内事情が大きな理由になっていることがうかがえます。
 昨年の4月から6月にかけて、軍や平壌市民への配給を優先させたことから、農村部の米を根こそぎとりたて、農村部で万単位の餓死者が出たと推測されているようです。

 ある村では「子供2人を殺して食べようとした父親が銃殺された。『肉がある』と勧められた妻が、子供がいないのをいぶかり通報。軒下から遺体の一部が見つかった」のだそうです。

 怖ろしや。

 飢餓に耐えきれずにわが子に手をかけ、あまつさえその肉を喰らうとは。

 飢餓ゆえの人肉食というのは時折耳にします。
 南方戦線の日本軍は飢餓のために最初は米兵を、後には自国軍の亡くなった兵士の肉を喰らったとか。

 また、武田泰淳「ひかりごけ」には、難破した船の船乗りがある島に流れ着き、亡くなった仲間を食う様子が活写されています。
 三国連太郎主演で映画化もされ、無表情で生の人肉を食う三国連太郎の演技が見事でした。

 1972年にはウルグアイからチリに向かった旅客機が雪山に不時着。
 生き残った客は亡くなった旅客の肉を食って飢えをしのいだことが衝撃的なニュースとして伝えられました。

 この事件に取材したノン・フィクション「アンデスの奇蹟」や映画「生きてこそ」は衝撃的なだけではなく、人が飯を食うということ、動物であれ植物であれ、自分が生きるためには他の者の命を奪わなければ人は餓死してしまうということを実感させられ、絶望的な気持ちになったものです。

 北朝鮮は自国民がそこまで追い詰められながら、あくまで米国に対峙しようとしています。
 その政策を推し進める金正恩第一書記が行きつく果ては、形ばかりの裁判で即刻銃殺刑になったルーマニアの独裁者、チャウシェスク大統領や、民衆になぶり殺しにされたリビアの独裁者、カダフィ大佐のような、悲惨なものであるに違いありません。

 金正恩第一書記には、せめて餓死者がでないような体制をつくることを目指し、軍備増強などは諦めることこそ、以て瞑すべしと言うべきでしょう。

 

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