新しいローマ教皇が選出されたそうですね。
アルゼンチン出身のホルヘ・マリオ・ベルゴリオ枢機卿、76歳。
教皇の名前はフランチェスコ1世。
南米出身のローマ教皇は長いバチカンの歴史でも初めてだそうです。
ローマ教皇の選挙、コンクラーベと言うんだそうですね。
有権者の枢機卿のうち3分の2の得票が必要なんだそうで、3分の2に達するまで何度でも投票するというルールとかで、なんだか根競べみたいですね。
駄洒落ですが。
それにしても南米からローマ教皇が生まれるというのは、なんとなく違和感を覚えます。
大航海時代、南米にたどり着いたスペイン人を、南米の人々は歓待したそうです。
しかしスペインの目的は南米を植民地化することにあり、そのためには闘わなければなりません。
宣教師がまずキリスト教の布教にやってきて、その後商人が、さらにその後軍隊がやってきて侵略するというのが当時のスタイル。
スペイン軍はローマ教皇庁に南米人は人なのか猿なのか、との伺いを立てたそうです。
人間ならばむやみに虐殺できないし、多分親和的な現地人を虐殺するのが嫌だったんでしょうね。
しかし、ローマ教皇庁は猿だから殺して良い、という指示を出します。
哀れ、南米人はスペイン等の侵略を受け、豊かな文明は滅ぼされてしまいました。
アルゼンチンに多く住むのは、今では白人。
米国もカナダそうですが、元を正せば現地人から土地を簒奪して作った人造国家です。
米国などでは黒人やヒスパニックへの人種差別を禁じる様々な努力がなされてきましたが、なぜかネイティブ・アメリカンの話になると今も腰が引けています。
かつてインディアンと言われ、西部劇などで悪役だったネイティブ・アメリカン。
今、彼らの多くは政府が指定した居留区に住み、働かないでも食っていけるような補助を受け、昼日中から酒を喰らってアルコール依存症になる者が後を絶たないと聞き及びます。
それを思うと、アルゼンチン出身のローマ教皇の誕生をお祝いする気持ちになれません。
明治維新以来、わが国は白人お金持ちクラブによる世界支配に異を唱え、日露戦争の勝利では世界中の有色人種が狂喜乱舞しました。
一方名誉ある孤立を棄て、ロシアをけん制するために日英同盟を結んだ同盟国である英国では、日露戦争での日本勝利の報に触れ、町はお通夜のように静まり返り、人々は喪服を着てロシアの敗北を悼んだと伝え聞きます。
米国は日露戦争直後から、将来、太平洋を挟んで日米は必ず対立すると考え、日米戦のシュミレーションを始めたというから気の長い話です。
200年にも及ぶ白人支配により、すっかり骨抜きにされ、逆立ちしても白い連中には敵わない、と思い込んでいたところ、日本人は同じ人間にできることが日本人に出来ないわけはない、と植民地の人々とは真逆の信念を持ち、わが国は英米に次ぐ軍事大国に成長しました。
第二次大戦後、わが国は敗北したとはいえ、次々と植民地が独立。
結局一番損をしたのは英仏などの植民地をたくさん持っていた戦勝国。
わが国の国際デヴューは、白人お金持ちクラブにとってパンドラの箱だったのですねぇ。
しかしそれでもなお、サミット参加国などを見ると、現代でも世界を支配しているのは白人お金持ちクラブ+日本でしかないことに気付かされ、愕然とします。
昔の怨みを晴らすかのように領土的野心をむき出しにする中国の気持ちも分からないではありません。
人種にまつわる難しい問題を思い起こさせただけでも、南米出身のローマ教皇の誕生は意味があるのかもしれませんね。