祝祭

思想・学問



 イスラム社会では、先日ラマダーン(断食月)が終わり、今祝祭の大宴会を各地で開いているようです。 

 そして、8月10日と言う日は、イスラム教の開祖、ムハンマドが、初めて神の啓示を聞いた日とされています。
 西暦610年のこの日、ムハンマドの前に大天使ジブリールが現れ、啓示を与えられたのだとか。

 単なる商人だったムハンマドは、当初何が起きているのか理解できず、ひどく怯えて、奥様に窮状を訴えたと伝えられます。
 しかし、神からの啓示が続き、やがてムハンマドはこれを正しい教えと信じ、啓示をそのまま書き起こした「クルアーン」を著し、布教に専念します。

『クルアーン』―語りかけるイスラーム (書物誕生―あたらしい古典入門)
小杉 泰
岩波書店

 

聖典「クルアーン」の思想――イスラームの世界観 (講談社現代新書)
大川 玲子
講談社

 私たち東洋人から見ると、ユダヤ教・キリスト教・イスラム教はどれも似たような教えだと感じます。

 天地創造や最後の審判などの根本教義がほぼ一緒です。
 違うのは、救世主(メシア)の考え方。

 ユダヤ教は未だ救世主(メシア)は現れておらず、今後現れると考えます。
 キリスト教はもちろんキリストが、イスラム教はムハンマドが救世主と考えます。

 面白いのは、イスラム教はキリスト教を頭から否定しているわけではなく、キリストを救世主が現れる前に何人か登場する預言者の1人と解釈し、イスラム教はユダヤ教・キリスト教が発展して成立した最終形だと思っていることですね。

 檀家で氏子でクリスチャンと揶揄される私たち日本人は、宗教に寛容で、宗教対立が基で戦をしたことはほとんどありません。

 しかしムハンマドと言うのは過激な人で「人を殺すのは良くない。しかし、アッラーの神を信じないのはもっと良くない」とかぬかして、自ら軍を率いて異教徒と戦っています。

 キリスト教も、十字軍など、ずいぶん宗教戦争を戦いましたが、開祖キリストが自ら戦ったという話は聞いたことがありません。

 わが国には信仰の自由があり、何を信じてもご勝手ですが、私の個人的な感想を言えば、この世は神様が7日で作ったとか、最後の審判では死者を含めて全人類が裁かれるとか言われると、あんまりにもべらぼうな話で、なんだか白けてしまいます。

 それはSFですか、あるいは統合失調症による幻視ですかと、聞きたくなります。

 私は既成の宗教を信仰していません。

 私が信じるのは、仏教や神道、国学、儒教などが混然一体となった日本教とでも言うべきものに、私なりのアレンジを加えたとびお教としか言い様が無いものです。

 そういう意味では、私は教祖であり、たった1人の信者です。
 何もそれを体系だて、布教しようとはさらさら思いませんが、思考の遊びとして、東洋の宗教の良い所どりをし、自分好みにアレンジして独り悦に入っているというのは、なかなか楽しいものです。

 これからは織田信長のように、鏡に写る私自身を拝んで暮らすとしましょうか。
 

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