肥満

その他

 私は18歳から36歳くらいまで、身長165センチ、体重53キロくらいの痩せ型でした。

 それがうつ病発症後、抗うつ薬の副作用と、長期病気休暇中寝てばかりいたため、74キロまで増えてしまいました。

 そのせいで高脂血症・糖尿病・高血圧など、様々な問題を抱えることになってしまいました。

 子どもの頃から太っていた経験が無いため、戸惑いました。

 しかし、一昨年、父が亡くなってから、体重が急速に落ち始めました。

 いわゆるダイエットなど何もしていないのに、1年間で24キロも落ちて50キロ前後になり、その後も変わりません。
 
 何が変わったと言って、ちょっとでも食い過ぎれば戻してしまい、揚げ物にいたってはまったく受け付けなくなりました。

 入るのは酒ばかりで、食い物はいくらも入りません。

 165センチで50キロはいくらなんでも痩せすぎだと思いますが、食えないものはどうしようもありません。
 私はただ、食えるものを食えるだけ食うだけです。

 先ほど、テレビで人が肥えるメカニズムを検証していました。

 人はあまりにも長い間、腹いっぱい食えない飢餓の時代を過ごし、そのためにわずかなカロリーでも体に蓄えるように進化してきたそうです。

 しかし、急速に飽食の時代の時代を迎え、人は毎日腹いっぱい食えるようになり、進化に追いつかない肉体は、それを蓄えるようになり、あり得ない肥満を生み出したのが、現代人の肥満のメカニズムのようです。

 私もかつて食いたいだけ食って、しかも寝てばかりいて肥えたわけですが、何も努力せずに1年で24キロも落ちたことを考えると、食欲というもの、そう単純なものではないようです

 40過ぎて親父が亡くなったからといって、まさかそんなに痩せるとは想像もしませんでした。

 亡父との関係性は良好でしたが、依存しているつもりは全くありませんでした。
 精神的にも、経済的にも。

 今朝の体重は49.8キロ。
 夜の体重は50.6キロ。

 この体重の激減を経験して、私は身近な人の死というものがもたらす強い影響に思いを致さずにはいられません。

 戦争、天災地変、難病。

 人は様々な理由で呆気なく亡くなり、残された者はやせ細り、その衝撃から逃れることはできません。

 亡父の遺体を焼く火葬場で、親族が握り飯を食っている姿を見て、私は一口お茶を飲んだだけで、激しく戻してしまいました。
 それかあらぬか、胃液まで吐いてしまいました。 

 今、亡父のことを思い出すことも稀になりましたが、胃袋だけは相変わらず亡父の面影を求めているがごとく、体重が増える気配はありません。

 してみると、現代に至って肥満が増えたとは言うものの、それは事実なのでしょうが、精神的、肉体的な欠陥を抱えた者にとっては、現代の肥満の病理は全く無縁であるようです。

 私は今、体重を増やすべく、カロリーを使わないようにし、食えるかぎりの物を食っています。

 にも係わらず体重が変わらない現状に鑑みるに、体重を落とすべく大金を払う人々の姿を見るにつけ、つくづく幸せな人々だと思わずにいられません。

 しかし私は、様々な肉体的疾患が発生し始めたその時に、亡父は死をもってそれを諌め、血液検査で何の問題も無くなった今の私を作ってくれたような気がしてなりません。

 100歳まで生きようとも、私は亡父の足下にも及ばない愚か者だと、実感せずにはいられません。

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