夕刻、マンションの一階広場で、奇妙な老紳士を見かけました。
2秒ほどで消えてしまったところをみると、霊的存在であったのかなと思います。
私は時折、そういう存在を見かけます。
しかし、恐怖を感じたことはありません。
なぜならそういう存在には物理的な力を行使する能力が無いからです。
思うに、この世を構成する存在は、我々生きている者だけではなく、霊的存在も含まれると思います。
ビッグ・バンでこの世が生まれたという説を信じるならば、霊的存在もまた、その後に生まれたはずです。
また、クロマニヨン人とかネアンデルタール人の幽霊を見たという話を聞いたことがありませんが、落ち武者の幽霊を見たという話は聞いたことがありますので、幽霊にも、この世に残れる寿命があるのだと思われます。
しょせん、誰にも分からないことです。
私の少ない経験から言って、幽霊と呼ばれる存在は怖くありません。
気味悪くはありますが、物理的な力を発揮することはできませんので、むしろこちらがしっかりしていれば、幽霊が生身の人間を怖れるのではないかと思います。
人間必ず死にます。
死んだならば、死を自覚して次なるステージに進むのが圧倒的多数だと思います。
しかしごく一部に、恨みだとか愛だとか、あまりにも強い感情を持った者が、自分が死んだことを認められず、今生に残り、残ったとはいうものの何も出来ず、ただ気配で人を驚かすしかなく、ますますいらだちを募らせるのではないかと思います。
今生を生きる私たちが出来ることは、いつ死んでも、自分は死んだんだと受け入れられるように心がけることでしょうかねぇ。
そうは言っても、今生を生きる我々が、本当に実在しているのか、霊的存在があやふやな存在なのか、誰にも分かりません。
たとえ幻であっても、ただその日その日を、誠実に生きるほかありますまい。