世界連邦を実現しようという運動が、第二次大戦後から、細々と続いています。
湯川秀樹やアインシュタイン、バートランド・ラッセルなどの著名な学者・文化人に加えて、チャーチルや尾崎行雄などの政治家もこの運動に賛同しています。
戦後の秩序を維持するはずだった国際連合が、実際の国際紛争に対してほとんど無力であることを悟った人々が、国家の集合体ではなく、個人が直接構成する連邦が必要だと考えたことが運動発足の理由になったようです。
国家を無くせば戦争が無くなり、恒久平和が訪れるというのは、いわば人類永遠の夢であるといえ、その高邁な理想は称賛に値しましょう。
しかし、70年に及ぶ運動にも関わらず、世界連邦が誕生する兆しは皆無で、今も世界各地で小さな違いや利害を原因に、殺し合いが続けられているのは、悲しいことです。
私が見るところ、人間という種は、まずは自分が大事、次が家族、次が親族、さらには故郷や現在住んでいる場所の共同体、どんなに広げても自民族や自国までが精いっぱいで、全世界のために、という考えには及ばないようにできているように感じます。
そう考えると、了見が狭いのが人間の本質であるとしか言いようがなく、世界連邦を目指す運動というのはほとんど徒手空拳の猿芝居としか思えません。
人間という種は、どういうわけだか同種同士が、わずかな違いや利害を理由に殺し合うように進化してしまったとしか思えません。
しかし、かつてはわが国の戦国時代など、国内で殺し合いを続けていました。
それは異国も同じこと。
さらに昔は、おそらく隣村と殺し合う、みたいなことが起きていたと思われます。
ところが現在は、少なくとも日本国内で大規模な殺し合いが起こることは想像できません。
また、先進国同士がガチンコで戦うことも想像しにくい時代になりました。
牛歩の歩みとはいえ、確実に殺し合いのリスクは低くなっているように感じます。
これは意外に大きな進歩なのではないかと思います。
ペリー提督のおかげでしょうか?
同じ進歩が世界規模で起きれば、その時こそ世界連邦成立の時でしょう。
そしてそれは、おそらく異星人が襲来するなど、人類が一丸とならなければ危機に立ち向かえない状況が起きた場合に手っ取り早く成るのだと夢想します。
異星人襲来の僥倖はいつになるんでしょうかねぇ。