香港で行政長官の選挙に際し、民主派の候補が立候補できないようなシステムを作ろうとして、香港では若者を中心に激しいデモを繰り広げていますね。
1989年の天安門事件を思い起こさずにはいられません。
時代はくだって、今やあっという間に名も無い市民が撮影した映像が世界を駆け巡るようになりました。
そんな時代にあって、天安門事件のような弾圧はいかに中国政府といえども出来ないでしょう。
中国マスコミは、国内向けのニュースで、香港のデモを、国慶節を祝う人々、と紹介しているそうです。
噴飯物とはこのことです。
習国家主席が唱える「偉大なる中華民族の復興」とは、具体的にどのような状況を現出せしめることを目指しているのでしょうね。
一説には、アヘン戦争で敗れて以来の怨念を晴らすべく、過去、最も中華帝国が広い版図を誇った時代と同様の地域を支配したうえに、一度も支配したことがない太平洋の半分を手に入れることにあるとする識者もいます。
これはほとんど誇大妄想とでも言うべき壮大な夢想で、欧州全体を支配し、さらには全世界の覇者となることを夢見たヒトラーにも比すべき馬鹿馬鹿しさです。
中国は広大な領土をすでに持ち、世界一の人口を誇っているではありませんか。
国民の所得格差を縮め、国民に幸福感をもたらすより他に、目指すべき政策は存在しえないように思います。
現実に目を向ければ、西方の少数民族はテロを続発させ、インド・ベトナム・フィリピンなど南の隣国と対立し、太平洋に覇を唱えようにも、日米同盟が強力にこれを阻止しています。
「偉大なる中華民族」と言えば、すでに中国は偉大であり、これ以上力によって領土や影響力を増やそうとすれば、やがては世界を敵にまわし、目標とは間逆の、眠れる獅子に戻ってしまうように感じます。
愚かな夢はきれいに忘れて、すでに偉大である中華人民共和国の今を、合法的に維持発展せしめるよう努力いただきたいものです。