昨日参加した的財産セミナーでは、福井健策というスキンヘッドの講師士が著作権や肖像権について熱く語っていました。
東大法学部を出た弁護士先生だそうで、著作も多く出しています。
![]() | 誰が「知」を独占するのか-デジタルアーカイブ戦争 (集英社新書) |
福井 健策 | |
集英社 |
![]() | 「ネットの自由」vs.著作権: TPPは、終わりの始まりなのか (光文社新書) |
福井 健策 | |
光文社 |
![]() | 著作権の世紀―変わる「情報の独占制度」 (集英社新書 527A) |
福井 健策 | |
集英社 |
聞いたことの無い横文字がたくさん出てきましたが、強調していたのは、リスク・テイク(risk taking)の力をつけることが、これから重要になる、ということ。
どういうことかというと、その組織が持つ様々な情報のうち、利益とリスクを秤にかけて、その情報をえいやっと、公開するか、あるいは非公開とするか、判断する力をつけろ、ということ。
私が勤務してきた様々な学術研究機関では、個人情報から、研究上機密性の高いもの、あるいは公開して世に問うべきものなど、じつに多くの情報を持っていることが常でした。
かつては深く考えずに公開することが多かったわけですが、昨今は慎重にならざるをえません。
卑近な例では、職員名簿。
つい10年ほど前までは、どこの機関でも自宅住所や電話番号が入った職員名簿を作成するのが当たり前でしたが、これが名簿屋の手に渡り、固い商売だということで、様々なセールスに使われたりして、近頃では個人情報保護の観点から、名簿を作成していません。
しかし、人事担当部署は当然知っているわけで、これを売りさばくことが不可能とは言えませんし、売った場合、どんな犯罪になるか、現在でははっきりしません。
職務上知り得た秘密をばらしたということで、職場の規則には抵触するのでしょうが、入札の際の予定価格のように、ばらしたら直ちに犯罪行為として逮捕されるということは無いでしょう。
著作権と肖像権とか、グレーゾーンの分野が多く、知的財産に関しては、常にリスク・テイクを勘案して公開の適否を判断する必要があるというわけです。
もちろん私のような下っ端に任された裁量の範囲は極めて限定的ですから、あんまり気にしなくても良いのかもしれませんが、機関のトップがおかしげな判断を下さぬよう、目を光らせなくてはなりませんねぇ。