昨夜は「告白」で大ベストセラーをとばした湊かなえのミステリーを読みました。
じつは「告白」は読んでいないのですが、映画で観て、非常な感銘を受けました。
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昨夜読んだのは二人の仲の良い女子高生の夏休みを描いたものです。
タイトルは、ずばり、「少女」。
ブログのタイトルは、作中小説の題名です。
この二人の他に、ほとんど登場しませんが、ミステリアスな転校生がからみ、物語は重層的でいくつもの仕掛けを隠し、あっと驚く内容になっています。
転校生は、前の学校で、親友の自殺に出くわします。
遺体の第一発見者になってしまったことにより、人の死ということに関し、愁いを帯びた口調で語ります。
それを聞いた二人は、猛烈に人の死に、それも死ぬ瞬間に立ち会いたいと願います。
夏休み中、一人は老人ホームでボランティア活動をし、一人が読み聞かせのボランティアで訪れた病院で難病の少年と知り合い、交流を深めます。
その中に恋愛めいたスパイスを効かせつつ、誰もが一癖も二癖もある人物であるということが分かり、終盤、予想もしなかった展開を見せます。
もちろん、中心となるのは、人の死にどう立ち会うか、ということ。
で、楽しめたかと言うと、中ぐらい、というのが正直なところです。
緻密で豊穣な物語を構想する能力と、美しい日本語を紡ぎ出す能力は、根本的に異なるものなのだということを実感させられました。
要するに、文章が不味いのです。
なんだか粗筋を追っているような気分になりました。
これほど才能豊かな人に、優れた筆力は無用の長物ということでしょうか。
天はニ物を与えず、と言いますからねぇ。
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