最近、貴の岩への暴行問題が、変な方向に向かっているように感じます。
貴乃花親方の対応が一番悪い、みたいな論調が目立つようになってきました。
執行部の一員である理事として、相撲協会に報告しなかったことや、相撲協会の聴取になかなか応じなかったことや、自分の正しさをひたすら主張する態度などが、相撲協会から見ると面倒くさいやつに見えるようです。
面白いのは、マスコミやら相撲関係者と称する人やら、外部の人も、貴乃花親方を困った駄々っ子のように報道していること。
しかし、貴乃花親方は、最初から刑事事件として警察に届けたわけです。
このこと自体は、不思議なことではない、むしろ当たり前のことです。
暴行を受けて怪我をさせられれば、警察に被害届を出すのは、至極真っ当なことです。
また、警察に被害届を出した場合、被害者が、警察以外に何も語らない、というのも当たり前です。
「捜査中だからコメントしません」とか、「判決が出るまで何も話しません」という言葉に、私は違和感を感じません。
むしろ、組織の一員としてその組織にまずは報告すべき、というほうが、私には不思議な論理に思えます。
そんなことをすれば組織によってうやむやにされ、果ては看板力士である白鳳や日馬富士を守るため、なぁなぁで納めてくれ、と言い出す可能性が極めて大きいと思います。
弟子が受けた暴行は刑事事件であり、そのことをはっきりさせたいため、刑事告発し、裁判に持ち込むのが一番効果的だと考えたのなら、警察以外には何も話さないほうがよろしいでしょう。
組織の一員としての報告義務を怠った、と言いますが、それは報告することでこの問題を隠蔽されるのを怖れたからだとも言え、理事にそのような危惧を抱かせた協会及び理事長の責任をもっと厳しく問うべきです。
おそらく貴乃花親方は相撲関係者から見ると、相撲界の因習に染まらない変なやつに見えるのでしょう。
もう10年近くなりますが、私は職場のトップからパワー・ハラスメントを受けて精神障害が再発し、これを正すために、弁護士を立ててトップの非を攻めたてました。
しかしこの時、職場では陰に陽に、弁護士を立てることを阻止しようと、立てた後では取り下げさせようと、圧力を受けました。
その時よく言われたセリフが、「同じ職場の仲間じゃないか。行き過ぎた発言はあったかもしれないけど、大人の態度で穏便に済ませてくれよ」みたいなこと。
同じ職場だからこそ、第三者である弁護士を入れなければ、公正な話し合いが出来ないと考えただけなのに。
それらの、私に翻意を促す発言は、私に油を注ぐ効果しかありませんでした。
私をして、職場内で不利益を被ろうと、変人扱いされようと、徹底的にやってやる、と決意させたのです。
理は我にあり、という強い思いを抱きました。
それで結局、公文書による謝罪と和解金をせしめたわけです。
私は世の中を変えるのは変人だと思っています。
偉人と言われる人は、大抵変人でもあります。
貴乃花親方は偉大な変人であり、私もそうありたいと思っています。
相撲協会及びマスコミの報道などを見ていると、貴乃花親方の心情がよく理解できます。
被害を受けたのは自分の弟子であって、加害者に対し正当な罰を下してほしい、相撲協会内部の調査では、きっと揉み消されてしまう、というものだと思います。
私はふてぶてしいというか、駄々っ子のようなというか、あの堂々とした貴乃花親方の姿勢を全面的に支持します。
もし貴乃花親方に降格などの重い処分が出たなら、それを不服として別の裁判を起こして欲しいと思います。
なぜなら、少なくとも貴乃花親方は、自身の行動に間違いはない、と確信しているのでしょうから。
わが国で蔓延する、組織防衛のためには少々の悪は許される、みたいな、ムラ社会的な論理は、徹底的に破壊されるべきです。
まして相撲界なんて、ムラ社会の典型のような組織であるように見受けられます。
貴乃花親方には、信念を貫いてほしい、と切に願います。
その姿を見せることは、相撲協会のみならず、わが国全体を覆う、ムラ社会的な、ドロドロしたものを、多少なりとも浄化する作用があると、私は思っています。