昨夜は、魔女を描いた「ウィッチ」を鑑賞しました。
1630年代の米国、ニューイングランド。
信仰のため、英国から米国に移住した一家。
しかし、米国、ニューイングランドでも、信仰への信念の違いから、夫婦と5人の子供たちの一家が町から追放されてしまいます。
森の近くの荒れ地にたどり着いた家族は、痩せた地を耕し、家畜を飼ってどうにか暮らし始めます。
しかし、ある時、まだ赤ん坊の末っ子が何者かにさらわれてしまいます。
家族は魔女の仕業ではと思いつつ、狼のせいだと思い込もうとします。
続いて長男が熱病を発し、取りつかれたように亡くなってしまいます。
両親は、初潮を迎えた長女が魔女なのではないかと疑います。
そして家族は疑心暗鬼に陥り、互いに罵倒し合うようになります。
挙句、父親は悪魔の化身である家畜の黒ヤギに襲われて死亡。
それを見た母親は長女の仕業だと信じて長女に襲い掛かりますが、返り討ちにあって亡くなります。
生き残った長女は悪魔の化身である黒ヤギを通して悪魔と契約を結び、全裸で森に入り、魔女たちの集会に参加。
恍惚とした表情で炎を囲み、魔女としてデビューするのです。
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薄暗い映像、荒涼とした風景が雰囲気抜群です。
さらに衣装や建物などが、時代劇っぽさを醸し出しています。
娘が魔女になったのではないか、という疑心暗鬼から、家族同士で罵倒しあう姿は凄惨ですが、魔女の存在はほのめかされる程度で、信仰をめぐる葛藤と、家族の崩壊を描いたダーク・ファンタジーの色合いが濃いと思わせますが、ラスト、長女が実際に魔女になるシーンで、森に住む魔女たちの姿が明確に描かれるに至り、これほど魔女というものを正面切って描いた作品も珍しいと感じさせます。
ラスト、森の中で、全裸の魔女たちが炎を囲み、空中へと舞い上がるシーンは、美しいとさえ言えます。
後味は決して良いものとは言えません。
むしろ救いが無いと言えるでしょう。
しかし、不思議と心に残ります。
現在、米国には全米魔女協会なるものが存在し、公認の魔女、と言う人がいるそうです。
昔であれば魔女の疑惑を受けただけで火あぶりにされたような存在ですが、大らかな時代になったものです。
1600年代といえば、米国のセイラムで行われた魔女裁判が有名です。
村人のうち、200人が告発され、うち、19名が処刑、1名が拷問中に死亡、5名が獄死した、という悲惨な事件で、映画や小説の題材に取り上げられています。
最近では「ロード・オブ・セイラム」という、セイラム事件の末裔が現代で魔女となる、極彩色の映画が印象に残っています。
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昨夜観た「ウィッチ」はそれら娯楽作品とは異なり、魔女という存在の根源に迫る、文芸作品的な要素が強く、魔女を描いた作品としては名作と言えるものだと感じました。