今朝はなぜか早朝4時に目が覚めてしまい、もう眠れません。
仕方がないので朝風呂に入り、飯を食いました。
あんまり食欲が無かったので、いつもは食前酒のお供をしている、酒盗をご飯に載せて軽く済ませました。
酒盗、私の酒での好物ですが、大体酒のつまみは白飯に合うようです。
酒を盗むと書いて酒盗。
酒を盗みたくなるほどつまみ能力が高い、カツオの塩辛です。
飯を食って、ユーチューブで格闘技を観たり、ベビーメタルの曲を聞いたりして、漫然と過ごしました。
朝6時から洗濯開始。
同居人はまだ夢の中です。
洗濯が終わる頃同居人が起きだしてきて、一緒に洗濯物をベランダに干しました。
よく晴れているので、一日で乾くでしょう。
その後日曜日恒例の、NHKの日曜美術館を鑑賞。
私は絵が下手だし、彫刻なんて人間技とは思えないので、日曜美術館に登場する製作者たちは、神のような存在です。
今まで美術の神に愛された多くの天才を見ては、ため息をつきました。
人間はよほど不公平に出来ているらしく、何の才能も無い私は、つまらぬ事務仕事に精を出すしか、生きる術がありません。
しかし私は、まがりなりにも若い頃小説を書いていたので、小説の良し悪しは分かります。
わかると言うことは、怖ろしいことです。
つまり自身の小説が、どこまでいってもセミプロの域を出ないことまでわかってしまうのです。
才能の無い人間が、しかし他人の作品を評価することだけは出来るのですから、切ないばかりです。
往年の名画に、アマデウスという作品がありました。
モーツァルトと同時代を生きた宮廷音楽家のサリエリが、モーツァルトとの思い出を、老人ホームで聖職者に告白する物語です。
サリエリは宮廷音楽家という、当時の音楽家としては最高の地位にあります。
一方モーツァルトは下品で大酒呑みの遊び好きな若造、しかし作曲の能力だけは高い天才として描かれます。
サリエリは、己の音楽は時とともに忘れられていく運命にあり、モーツァルトはたとえ野垂れ死にしようと、その音楽は永遠に残るのだと言う確信を持っています。
嫉妬に狂うサリエリは一計を案じ、モーツァルトに精神的な恐怖を与え、ついには狂い死にさせようと言うのです。
そのことが原因かは分かりませんが、モーツァルトは30代半ばで死んでしまいます。
サリエリが感じたのは虚しさだけでした。
サリエリの晩年、モーツァルトの音楽は栄光をもって生き残り、サリエリは過去の人として忘れ去られ、寂しく老人ホームで暮らすのです。
最晩年のサリエリは、自らを平凡の王と名乗ります。
涙無くして観られない映画です。
他人の才能を見抜き、さらにはおのれの才能の無さまで分かってしまうと言うのは、不幸なことですね。
私もまた、小説で身を立てることが出来なかった平凡の王に過ぎません。
今宵もわずかばかりの酒を呑み、月曜日への恐怖をごまかし、凡人として生きていくのですね。
53歳、一発逆転はもう無いでしょう。
平凡の王ほど、切ない者はおりません。

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