オウム

社会・政治


 
 
 朝のニュースでオウム真理教の後継団体であるアレフの指導者は麻原彰晃こと松本智津夫の次男が務めていることを知りました。

 この団体、初めて知ったのは私が大学生の頃、彼らが国政選挙に立候補した時でした。

 オウムシスターズと呼ばれる若い女性の信者が象というかガネーシャの帽子を被って教祖を称える歌を歌いながら下手な踊りを披露したりして、コミカルな集団に見えました。

 後に松本サリン事件や地下鉄サリン事件を起こして日本のみならず世界を震撼させることになろうとは、その時は思いもしませんでした。
 時期を同じくして登場した幸福の科学と並んで論ぜられることが多かったように思います。

 当時流行っていたニューアカデミズムの学者や宗教学者は、概ねオウム真理教は真面目に原始仏教を追求している団体、幸福の科学は金儲けを主眼にした団体として、オウム真理教にシンパシーを感じる者が多かったように思います。

 それがあんな形で裏切られることになるとは、当時の若い学者達も衝撃を受けたことでしょう。

 教祖の死刑が確定した時、私は麻原を処刑してしまっては殉教者になってしまうので、事実上の終身刑になったと思いました。
 ところが時の法務大臣は麻原以下死刑判決が確定していた者達を一斉に処刑してしまいました。
 その時は驚きました。
 殉教者がたくさん生まれてしまうではないかと疑問を抱きました。
 アレフ、光の輪、ケロヨンクラブの三つの後継団体は今も麻原信仰を続けているようですが、表立って殉教者に仕立てようとはしていないようです。
 法務大臣、殉教者にすれば公安調査庁を使って徹底的に3つの団体を丸裸にし、すべて叩き潰す覚悟であったように思います。

 しかしそうはなりませんでした。
 後継団体は麻原信仰を続けていることを巧妙に隠し、今も宗教活動を続けています。
 いつまたテロ事件を起こさないとも限りません。
 地下鉄サリン事件が起きた時、私は破壊活動防止法が当然に適用されるものと思っていました。
 もともとは左翼過激派や暴力革命を否定していなかった頃の共産党を想定して作られた法律ですが、それらに適用されることはありませんでした。
 地下鉄サリン事件のような凶悪な犯罪に対し破壊活動防止法が適用されなかった理由は将来にわたる危険が認められないからだそうです。
 破棄活動防止法は機能していないと分かった瞬間でした。
 この判断は将来に渡って禍根を残すでしょうね。
 オウム真理教の後継団体の存続を認めてしまったのですから。

 我が国はイスラム原理主義がはびこる国家に比べて宗教テロは少ないと思います。
 そのような我が国で起きたこれらの事件を後世に伝える必要性を感じます。