米国で実際に起きた連続殺人の実話を基にしたサスペンスを鑑賞しました。
「BTKキラー」です。
BTKとは、Bind(縛る)・Torture(拷問する)・Killer(殺人者)の略のようです。
1974年から数年間、カンザス州の小さな町で、女性を狙った連続殺人事件が発生しました。
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マクザム |
犯人は相当な目立ちたがり屋だったようで、テレビ局に犯行声明を送ったり、人殺しの詩人と称して自作の詩を送りつけ、報道させて喜んでいたようです。
彼には優しい妻と二人の息子がおり、家族に対しては良き夫であり、父でした。
仕事は当初警備員で、その後法令順守員という日本人には耳慣れない職に就いています。
いずれにしろ市民を守る立場であることに変わりはないでしょう。
また、地区の教会の信者会長を務め、食前のお祈りを欠かさない熱心なクリスチャンだったようです。
映画の中でしきりに食肉となる牛や豚が工場でどんなひどい殺され方をしているかを犠牲者に語っており、動物愛護意識が高かったのかと推測します。
30年も新たな犯行を犯さず、逮捕もされず、静かに暮らしていましたが、2004年にまた同じ手口の事件が連続して起き、BTKが帰ってきた、と町の人々は恐怖に震えたそうです。
しかし、時代は変わり、警察の捜査能力も上がりました。
かつては手紙をテレビ局に送っていたところ、2004年にはFDを送り、これが致命的なミスになったようです。
FDにパソコンの情報が残っており、そのパソコンは教会の物で、これを使用できるのは牧師夫婦と信者会長のBTK、本名デニス・レイダーだけだったのです。
数年の間にFDを見かけることもなくなってしまいましたが。デニス・レイダーです。
2005年、デニス・レイダーは逮捕されます。
終身刑を言い渡され、現在服役中です。
逮捕時、60歳だったそうですが、遅ればせながらご本人が望んでいた有名人になるという希望は達せられたものと思われます。
映画はやや退屈なものでした。
事実を忠実に描いただけで、想像力を加味してBTKの精神の闇に迫るような演出がなく、あまりに淡々としているのです。
ただ、これがことごとく事実だと思うと、見方は自ずと変わってきます。
逮捕後、奴は誰にも止められない、俺にも止められない、奴は俺の中に住んでいる、と不可解なことを言っていたそうです。
「Mr.ブルックス 完璧なる殺人鬼」という連続殺人鬼を描いた映画では、奴なる存在が、ブルックスのパートナーとして、実在する人物のように描かれ、映画としてはそっちのほうがよく出来ていたものと思います。
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