美術

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遷御の儀

今夜、いよいよ伊勢神宮の内宮で式年遷宮のクライマックスとも言うべき遷御の儀が営まれますね。 ご神体が新正殿に移る儀式です。 150人もの神職が式年遷宮のためだけの衣装に身を包み、厳かに行われます。  それにしても式年遷宮とは世界に例を見ない不思議な儀式です。 20年ごとに社殿を全て新築するのですから。 一説には、1300年ほど前から行われているとかで、古い技術の継承や、清浄を重んじる神道の精神から、天照大神を祀る伊勢神宮の社殿は常に新しいほうがよい、と言ったことが理由と考えられますが、正確にいつ、どういう理由で始まったかは謎のままです。伊勢神宮のこころ、式年遷宮の意味小堀 邦夫淡交社 近年のパワー・スポットブームで、伊勢神宮にお参りする人はずいぶん増えているようです。 近代建築に大きな影響を及ぼしたブルーノ・タウトが、伊勢神宮を訪れて、「稲妻に打たれたような衝撃をうけた」と語ったのは、有名な話です。 また、ノイトラは、桂離宮をはじめとする、わが国の伝統建築に接し、「私の空間の処理と自然に対する感性と、完全に一致した。私は生涯求めてきたものに出会った。私はもはや孤独ではなかった」と、絶賛...
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YKI48

今、横浜のそごう美術館で「幽霊・妖怪画大全集」なる展覧会を開いているそうです。 しかも、様々な妖怪を集めてYKI48と称し、総選挙という名の人気投票を行うとか。 じつに馬鹿馬鹿しくて面白そうな企画ですねぇ。 YKIとは、おそらく妖怪の略でしょうねぇ。 しかも、あなにもタタリ隊だとか、チーム魍魎だとか、妖怪戦隊ヒョウキンジャーだとか、ユニットまで作っちゃって。 わが国の人々の遊び心というのは、心憎いまでに素敵です。 このような企画は、私が勤める学術機関では到底不可能です。 美術館といえども、民間が企画する物は一般受けして集客が見込めそうなことを第一に考えるのですねぇ。 上の絵なんか、怖いというより滑稽です。  こちらはいかにも気味が悪いですねぇ。 ぜひ行ってみたいと思う反面、横浜そごうでこんな展覧会を開いたのでは、多分人の頭を観に行くようなものでしょう。 以前、東京国立近代美術館に「上村松園」展を観に行った時や東京国立博物館に「密教美術」展を観に行った時がそうでした。 面白そうな企画でも、キャパシティを超える客が押し寄せたのでは、行く気が失せます。 そこらへんのさじ加減が難しいところです...
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楽焼

今朝、NHKの番組で楽焼15代目当主、楽吉左衛門の特集が放送されており、興味深く観ました。 楽家はおよそ400年前、利休が求める黒茶碗を製作した長次郎にまでさかのぼります。 三井記念美術館所蔵の長次郎の黒茶碗、国宝だそうです。 戦国末期、太閤殿下の派手好きもあり、きらびやかな茶道具や美術がもてはやされた頃、利休と長次郎のコンビが生み出す渋い黒茶碗は、世に衝撃を与える、革新的なものだったでしょう。 その後わが国の文化の核を成すことになる、侘び寂びという精神の美術史上の出発点と言ってよいものです。 長次郎を継いだ2代目は太閤殿下から聚楽第の楽の字をもって姓を与えられ、以来、楽焼は脈々と現代に受け継がれています。 当代の吉左衛門は若い頃彫刻家を志し、東京藝術大学に進み、さらにはイタリアに留学しますが、芸術製作の何たるかに悩みに悩み、やがて日本文化に目覚め、家業を継いで茶碗を焼くことを決意、以来30年間、伝統的な黒茶碗を作りつつ、前衛的な茶碗製作にも挑み、高い評価を得ています。 かなり現代アートに近づいていますね。 さらにパワーアップ。 造形美を目指すに際して、最後は窯の火にゆだね、焼き上がる...
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「色を見る、色を楽しむ」 ブリジストン美術館

今日は久しぶりに美術館に出かけました。 京橋のブリジストン美術館で開催されている「色を見る、色を楽しむ」展を鑑賞するためです。 まずは車を飛ばして都営八重洲駐車場へ。 休日のせいか道がガラガラで40分ほどで到着。 全然知らなかったのですが、日本橋高島屋で2000円以上買い物をすれば3時間まで駐車無料とのことで、昼時でしたので、高島屋で昼飯を食いました。 2000円をちょっと超えて、一安心。 日本橋高島屋や日本橋三越には、子どもの頃親に連れられて時折出かけました。 重厚なたたずまいは当時と変わらず、しばし感傷に耽りました。 で、高島屋から徒歩5分ほどのブリジストン美術館へ。 ここを訪れるのは、アンフォルメル展を観て以来。 じつに久しぶりです。 その時はアンフォルメル以前の、象徴主義の画家、ギュスターブ・モローの絵に魅了されたことを思い出します。 わが国ではルノワールなどの印象派が根強い人気を誇っていますが、私には印象派は健康的に過ぎるようで、好みません。 今回の展覧会は色彩をテーマにしているせいか、多種多様な絵画が展示されていました。 で、モローより12~13歳くらい年下の同じ象徴主義の...
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草刈り場

現代アートの世界において、わが国が草刈り場となっているらしいことを、時折耳にします。 わが国の美術愛好家は、今も西洋美術でいえば印象派あたりに留まっている人が多く、グロテスクとも頓知とも言える現代アートに拒否反応を示すのでしょう。 例えば美少女フィギア。 あれはわが国では主にヲタクの人々が好む特殊な趣味であるように捉えられ、美術作品として取り上げることはありません。 しかし、米国などではあれは美術作品として取引され、わが国で1万円程度で仕入れたものが、40万も50万もの高値で売買され、しかも飛ぶように売れているのだとか。 さすがにそれを知ったわが国のフィギア職人が声を上げ、一時期よりは値が上がったようですが、今も美術作品と見なすことはありません。 同じようなことは幕末から明治初期にかけても起こりました。 わが国では低俗な流行画としてしか見なされず、物を包むのに使ったりしていた浮世絵が、欧州に渡るや、革新的な美術作品としてもてはやされ、その技法を真似た絵画が欧州の画家によって数多く製作されました。 村上隆のように、様々な現代アートに挑戦し、その一つとして美少女フィギアを作る人はともかく、...
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