悪徳の栄え
今日は旧友が帰った後、マルキ・ド・サド侯爵の「悪徳の栄え」を読み返しました。高校生の頃初めて読んで、非常なショックを受けた作品です。今も、時折読み返します。グロテスクなほどの性的暴力シーンと、アンチキリストの哲学を延々と語るシーンが続きます。後のサド侯爵は死刑判決を受けますが、フランス革命で難を逃れます。サド侯爵はもちろん、SMの語源となった作家ですが、幻想的ともいえる暴力シーンとアンチキリストによって、悪の哲学の創始者となったとみるべきでしょう。翻訳した澁澤龍彦は、わいせつの罪で起訴されました。私は「サド裁判」という裁判記録を読みましたが、芸術が国家の理屈に敗れる、という屈辱的なものでした。悪徳の栄え〈上〉 (河出文庫)渋澤 龍彦河出書房新社悪徳の栄え〈下〉 (河出文庫)渋澤 龍彦河出書房新社