文学

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久しぶりに小説を読みました。 桜木紫乃の「霧」です。 芸者から土建屋というかヤクザの組長と結婚した女の日々を描いた物語です。 物語は女が20代半ばで夫を撃ち殺されるまでを、北方領土が見える根室を舞台に描いています。 国会議員、土建屋、ヤクザ、花街の女たち、いずれ劣らぬ狸たちが北の町を舞台に権謀術数を繰り広げる物語です。 焼けば骨しか残らぬ体に、ひとはいったいどんなものを詰め込み、流しながら生きているのか、という一文が印象的です。 久しぶりの豊かな小説体験でした。 ご購入はこちらから ↓
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働けど働けど

今日も今日とて愚かな仕事で一日を過ごしました。働けど働けど わが暮らし楽にならざり じっと手をみる有名な石川啄木の短歌です。これ、給料が上がらず、物価ばかりが上がっていく現代日本のサラリーマンの偽らざる心情ではないでしょうか。私は今年で就職して34年目を迎えます。就職してしばらくはバブルの残滓が残っていて、給料は着実に上がっていきましたが、いつの頃からか、給料の上り幅が千円単位になりました。東日本大震災の際には、国家公務員の給料は一律2%減になりました。仕事で自己実現を図るという奇特なひとならともかく、多くの人は給料をもらうためだけに働いています。建前では社会に貢献したいなんて言いますが、嘘では無いにしろ、労働の主たる動機でも無いでしょう。 34年も働いても、給料は微々たるものです。蓄えは少々ありますから、生活に困るということはありませんが、給料日には給与明細を見てはじっと手を見つめてしまいます。一握の砂・悲しき玩具/
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凍原

今日はのんびりと読書をして過ごしました。 桜木紫乃の「凍原」という小説を読みました。凍原 (講談社文庫)桜木紫乃講談社 この作者にしては珍しいミステリーです。 終戦直後の樺太から命からがら北海道へ逃げ帰った女の半生とそれにまつわる殺人が雄大な時の流れのなかで語られます。 ただし、もともとがミステリー作家ではないし、ミステリー志向とは思えません。 小説家というものはイメージが定着することを嫌い、自分はこんな物も書けるんだ、あんな物も書けるんだと、色々な分野に手を出したりしがちです。 舟木一夫が一時「高校三年生」を歌うことを拒否したとか、太田裕美が「木綿のハンカチーフ」を封印したとかいう話を聞きます。 そればっかり求められると嫌になっちゃうのでしょうね。 この小説もそんな感じが漂っています。 自分は警察小説だって書けるんだ、と言う風な。 この作者はおそらく連作短編による雄大な物語や、中編程度のスパイスの効いた物語を書くことに長けているような気がします。
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思い癖

4月の配置換えによる忙しさにかまけて、ブログの更新を怠ってしまいました。 ブログを開かずにいたら、いきなりgooブログがサービスを停止するという衝撃の文言がトップページに出てきました。 完全閉鎖してしまっても良いのでしょうが、折角書き溜めたものが雲散霧消してしまうのは惜しい気がします。 ブログのお引越しを検討しなければなりませんが、お引越しの理屈は分かるのですが、作業が大変そうです。 チマチマと20Mづつダウンロードしてそれを新しいブログサービスにアップロードするということのようですが、20Mというのはしびれます。 小さすぎるではないですか。 文字だけのブログならともかく、写真やら動画やらをアップしているわけですから。 ただでさえ新しい仕事に慣れず、日々鬱々として過ごしているというのに、ブログサービスの停止はきついですねぇ。 人には誰でも思い癖というものがあると思います。 何事も前向きに、明るく取り組んでいく人と、逆にネガティブにこの世の不幸を全部背負っているような気分になる人と。 私は若い頃はそうでもなかったのですが、30代後半で精神障害に罹患してから、明らかにネガティブな思考をする...
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裸の華

今日は休暇を取りました。 なんだかひどく疲れてしまったようです。 朝は10時まで眠り、起きてから朝昼兼用の飯を食い、かねて読み進めていた、桜木紫乃の「裸の華」という小説を読み終わりました。 年増のストリッパーが足を怪我して引退。 ダンスショーを売りにする小さなバーを開きます。 若いダンサー二人を雇って店は軌道に乗りますが、わずか10カ月でダンサーの一人は妊娠、時を同じくしてもう一人は映画のオーディションに合格して店を離れます。 もう一度ダンサーを募集しても良かったのですが、年増はもう一度裸で踊りたいという欲求断ち切れず、再びストリッパーに復帰するというお話です。 題材は良いのでしょうが、この作者にしてはやや冗漫な感じがしました。 ストリップというもの、観たことがなく、裸になりさえすれば良いのかと思っていましたが、ダンサーとしての矜持のようなものがあるようで、どこの世界にも誇りを持って堂々と生きている人がいるものだと変に感心してしまいました。裸の華 (集英社文庫)桜木紫乃集英社
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